吉野家の「ダチョウ丼」反響は? まずは1000万円の利益を目指す
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月21日 6時10分
こうしたオイルの利点を生かし、「グラマラスブースターオイル」(5720~1万5400円)、「グラマラスエイジングクリーム」(1万6500円)、「モイスチャーマスク」(550~5500円)などの商品を販売している。「ブースター」とは、化粧水や美容液を塗る前に塗布し、化粧水や美容液の浸透を高める化粧品だ。
「化粧水や美容液はお好みの製品がある方が多いと思います。それらを生かす製品をラインアップしていて、今お使いの製品に追加していただくイメージです。明確なターゲット層は定めず、健やかなお肌を求める全ての方に向けて販売しています」(練木氏)
自社及び、日本調剤とヨドバシカメラの通販サイトで販売するほか、都内を中心にポップアップショップも展開。販売開始から1カ月強の現時点での反響を尋ねると、「想定以上に男性や外国人からの関心がある」という。
「意外な反響については、吉野家HDが開発した化粧品だから、というのもあるかもしれません。特に、顔に貼って使用するモイスチャーマスクが男性に好評です。『日焼けなどで顔が火照った際に使うと鎮静作用で赤みが抑えられる』といった口コミが寄せられ、リピート購入が増えています」(練木氏)
●まずは1000万円の利益を目指す
8月下旬の発表会で、河村社長は「ダチョウ事業で、まず1000万円の利益を目指す」と語っている。
今後のダチョウ事業の展開として、2024年末にコンシューマパック(少人数世帯の消費者向けに包装した食品)としてダチョウ肉を通信販売で扱う予定とのこと。現在の供給体制では提供できる店舗数が限られてしまうため、店舗での販売時期は未定だという。
自社での活用以外にB2Bでの販路も拡大しており、外食事業者などへのダチョウ肉の販売に加え、ダチョウからとれるオイルやケラチンなどを化粧品メーカーにも販売予定だ。
「コンシューマパックは、オーストリッチ丼と比較して手に取りやすい価格帯での販売を検討中です。B2Bについては、外食事業者や化粧品のOEMメーカーなどから多数の問い合わせをいただいています。ただ、肉に関しては自社での販売分とすでに契約している企業分の確保が先決のため、新規開拓はまだ難しい状態です」(辻氏)
販路の開拓にあたり、辻氏はダチョウの飼育技術を確立させ、効率的に飼育していく必要性にも触れた。
「ダチョウの飼育技術はまだ発展途上で、優れた技術を確立している牧場はありません。当社が業界のリーダーとなり技術を発展させていくことが最も重要なチャレンジだと思っています。
ダチョウは食糧問題の解決に寄与するという観点で、世界的に期待が高まっています。一方、欧米ではダチョウのような赤身肉の味わいはあまり好まれず、流行が行ったり来たりしている。今こそ私たちがブームを作っていきたいなあと。ダチョウ関連の研究者の方々など、業界のみなさんと一丸となって広めていきたいですね」(辻氏)
近い将来、ダチョウブームはやってくるのか。次なるダチョウ肉の販売戦略に注目が集まりそうだ。
(小林香織)
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