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DXは「7割が失敗する」 成否を分ける、最も大きな要素とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月15日 9時0分

 しかし人が介在している場合、人が何かをしなければもしくは精度を担保しなければ、プロセス全体の失敗につながります。

 分かりやすいので、自動お掃除ロボットのルンバで説明します。まず、ルンバの出現により、時間をかけて掃除機を自分で動かす手間がなくなりました。しかし一方で、部屋をルンバが動ける「ルンバブル」な状態にしておく、という作業は、現時点では人でしか達成できません。

 もしそのルンバブルにする作業が滞ってしまったとすると、ルンバを導入したメリットは享受できません。ルンバは毎日スケジュールされた時間に必ず動きだしますが、「実際に掃除がされ部屋がきれいになる」という状態達成のためには、プロセス上、人がルンバブルにしておくステップが最も大きな「落とし穴」になります。

 2つ目は、人のトランスフォーメーションへの感度です。企業の出自や歴史に依存しますが、DXをもともと当然のこととして進めている企業と、そうでない企業では、DXの捉え方は異なります。

 例えば、顧客とのプロセスが全てデジタル化されているWebサービスの企業などは、成り立ちからしてDXの余地がさほどないケースも珍しくないでしょう。一方、1990年代からIT化を徐々に進めてきたような伝統的な企業は、先述の段階を一つ一つ踏んでいく必要があるかもしれません。そうした中で、最終的に人が介在しない形に向かう場合でも、その過程で人が介在する状態が存在するケースというのは大いにあり得ます。

 「どんな変革も大体7割ぐらい失敗する」という考えが存在します。90年代にBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の考え方を提唱したマイケル・ハマー氏は「BPRの失敗の確率は50~70%だが、その数字はBPR自体が持つ成功・失敗の確率ではない。その多くの原因は人に起因するものである」と指摘しました。

 つまりDXの失敗率が特に高いのではなく、 人が介在しているからこそ、BPRや他の変革と同じように7割が失敗していると考えられます。言い換えれば、これまでの失敗確率の高さは、人へのフォローが少なかったからためであるということです。

 先述したように、DXは最終的には競争優位性を築くためのものです。近年はSaaSが一般的になり、どの企業も同じようなシステムを導入するようになりました。ではどこで企業間に差がつくのかというと、システムの使いこなし具合であり、つまりは人に依存します。各所でDXが推進される時代だからこそ、人が再び競争優位の源泉となったと言えます。

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