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ダイソーの「プチブロック」がすごすぎる 知られざる“熱狂”の世界

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月26日 6時10分

 ただ、達人の域に達すると、完成品を見ただけで「あ~、これをつくるには、親ペンギンを5袋、新幹線ドクターイエローを7袋、ステゴサウルスを10袋、それぞれ必要だよね」といった感じで、どの形状のどの色のブロックをどのくらい使っているのかが分かるというのだ。もちろん、製作にあたってどのくらい大変なのかも、すぐに想像できるとのこと。

●より深い「交流」が生まれる

 それにしても、なぜコミュニティサイトでプチブロックのファンは交流を深めているのか。企業の公式サイトよりも、SNSで作品を投稿したほうが「より多くの人に」見てもらえるはず。活動の場は、そちらに移したほうがいいのではないか。

 コミニティサイトを運営している山田亜梨沙さんに聞いたところ「ほとんどの人は、すでにXなどのSNSで投稿している」という。確認したところ、確かにプチブロックでつくられた作品が次々にヒットする。

 では、なぜわざわざ企業のコミュニティサイトにも「参加」しているのだろうか。「『コミュニティサイトに集まっている人たちにも見てもらいたい』という気持ちがあるのではないでしょうか。ただ、それだけではなく、コミュニティに参加することで、より深い『交流』が生まれることが大きいようですね」(山田さん)という。

 2024年8月、プチブロックのバイヤーとファンが集まって、座談会を開催した。さまざまな意見が出てくる中で、「こんな商品がほしい」「この色のブロックがほしい」といった議論が交わされた。現在、寄せられた声をもとに商品化に向けて、話が進んでいるようだ。

 10月に入って「ビックカメラ新宿東口店」に、ダイソーを出店した。店内にファンの作品を紹介するサイネージを設置したところ、お客はどのような反応をしているのか。ブロックを使ってさまざまな作品が生まれることに興味をもち、じーっと見つめている人も。店内には外国人観光客が多く、サイネージの動画を見て「自分用」や「お土産用」として、購入するケースも目立つという。

●会員が増えている理由

 勘のスルドイ人であれば、もうお気付きだと思うが、コミュニティサイトに参加しているのはプチブロックのファンだけではない。冒頭で紹介したように、ダイソーは毎月1200ほどのアイテムを投入している。ということもあって、さまざまなカテゴリーのファンが参加している。

 コミュニティサイトの会員はじわじわ増えていて、10カ月ほどで1万人を突破。増えている要因として、担当の山田さんは「4つ」のサイクルを挙げている。

(1)コミュニティサイトを見て、ほしくなった商品を購入

(2)その商品を買って、「よかった」と感じる

(3)コミュニティサイトで誰かに広めたくなる

(4)投稿すれば自身のポイントがアップして、さまざまなイベントに参加できる

 こうしたサイクルがうまく回って、コミュニティの規模がどんどん大きくなっているようだ。

 最後に、プチブロックファンの熱量は、一体どこに向かうのか。犬のブロックを使って、戦車やお城などをつくる――。担当者が想像もしていなかったことが、あちこちで起きている。ということは、今後もどういった動きになるのか。予想したところで、それを当てるのは難しいのかもしれない。

 いずれにせよ、ダイソーがファンを“ブロック”しない限り、この熱量はしばらく続きそうである。

(土肥義則)

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