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「店長、本音でいいんですか……?」 ユニーが値引き商品を「パート」に決めてもらう納得の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 7時0分

「店長、本音でいいんですか……?」 ユニーが値引き商品を「パート」に決めてもらう納得の理由

東海地方を中心にスーパー「アピタ」や「ピアゴ」を展開するユニー(提供:PPIH、以下同)

 東海地方を中心にスーパー「アピタ」や「ピアゴ」を展開するユニー(愛知県稲沢市)が、ユニークな値下げ施策を行っている。一般的に、販売する側が値下げする商品や価格を決めるが、ユニーは従業員が「値下げしてほしい商品」を投票。その結果から、値下げする商品や価格を決めている。こうした施策を実施する経緯や反響について、ユニーの販促企画部担当者に話を聞いた。

 ユニーでは同施策を「価格総選挙」と呼び、これまでに4月、7月、9月の計3回行っている。従業員は自身の働く店舗で値下げしてほしい商品を最大3点選び、希望の価格と合わせてPCかスマートフォンのアンケートフォームから投票する。投票期間は2週間で、対象商品は食品(総菜と生鮮食品を除く)と日用消耗品だ。

 4月に行った1回目の価格総選挙は、約2.3万人の従業員を対象に実施。2回目以降は、パートとアルバイト従業員だけが投票できるようにした。担当者は投票者を絞った理由について「パートとアルバイト従業員は、店舗の商圏で生活するお客さまでもある。近所のさまざまなスーパーを見ている彼ら・彼女らが持っている『他の店の方が安い』などの情報を投票結果に反映させることで、周囲の競合他社との価格競争に勝つことができる」と説明する。

 投票時には、PCやスマートフォンの操作が苦手な人もいたため、投票箱を設置したり、社員が代理で入力したりと工夫した店舗もあったという。

●値下げする商品を従業員の投票で決める理由

 なぜ、値下げする商品を従業員の投票で決めることになったのか。担当者は「物価高騰で値上げが続く中、買い物が楽しいものではなくなってしまっているのを感じていた。企業が一方的に提案するのではなく、利用客に一番近い立場のパートやアルバイト従業員の声を聞くことで、本当に喜んでいただける値下げになるのではないかと考えた」と説明する。

 投票について、従業員からは「本音を言っていいのか不安だった」という声が聞かれたという。「従業員としてではなく、お客として投票することに慣れていなかったため、感覚の切り替えが難しかった」と話す従業員もいたそうだ。

 しかし、投票した商品が実際に値下げされたことを受けて、「本音で投票していい」と従業員の意識が変わった。その変化は投票率にも表れている。約2.3万人の従業員が参加した1回目の約60%、パートとアルバイト従業員のみが参加した2回目は約70%、3回目は約75%に増加した。

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