Excelバケツリレーで資料作成──20年前と変わらぬ業務フロー、どう改善していくべきか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月19日 6時30分
この区別は実は非常に重要な意味を持つ。ブルーカラー業務はフィジカルなのに対し、現代のホワイトカラー業務はデジタルなのである。
ホワイトカラー自体は100年以上前からある概念だが、ほんの25年ほど前までは、オフィスにPCは普及しておらず、ホワイトカラーも「紙とエンピツ」で仕事をしていた。つまり仕事の媒体(メディア)自体はフィジカルだったから、ホワイトカラーもブルーカラーも、仕事の仕方にはさほどの違いはなかった。
ところが1990年代半ば以降、世界中の企業で、ホワイトカラーの仕事の媒体の「デジタル化」が急速に進んだ。簡単に言えば、「紙とエンピツ」から「PC」への移行が起きた。
そして、この移行に伴って、ホワイトカラーの生産性に革命が起きた。ホワイトカラーに定型処理をやらせる価値がゼロになってしまったのだ。
●デジタルによるホワイトカラーの生産性革命(1):個人レベル
ここでいう「定型処理」とは、あるインプットを入れたら、アウトプットが一つに決まるプロセスのことだ。例えば数値の計算である。
かつては、そろばんや電卓を用いて計算が速く正確にできるというのは、特に経理など計算を伴うホワイトカラーにとって価値のある技能だったが、今ではそうするホワイトカラーはいなくなってしまった。Excelが一瞬で正確にやってくれるようになったからだ。
つまり、仕事の媒体が「デジタル化」された結果、ホワイトカラーの作業のうち定型化できる部分については、デジタルが「手間ゼロ、所要時間ゼロ、差分コストゼロ、間違いゼロ」(以後、「4ゼロ」とも称する)でいとも簡単にやってくれるようになった。
するとこの定型部分については、ヒトが時間と脳力を投入する必要がなくなり、ヒトはその分、定型ではない作業に時間を割くことができるようになっていった。
●デジタルによるホワイトカラーの生産性革命(2):組織・企業レベル
しかし、ホワイトカラーの生産性革命の本当のインパクトは、個人ではなく、「組織の」能力の拡張、個人戦ではなく団体戦の方にある。
組織の能力の拡張とは何か? それは、「業務プロセスの定型化→デジタル化」だ。つまり、ホワイトカラーが関わる業務プロセスのうち定型化しデジタル化された部分は、それが何であろうと4ゼロで処理されるようになったこと、である。
業務プロセスのうち定型化できるものは、それが何であろうと「ソフトウェアという機械」に「人間の知恵を付け」て、やらせることができる。ソフトウェアという機械を正しく設置するまでの「初期費用」はかかる。だがそれが済んだら、そこから先は「手間ゼロ、所要時間ゼロ、差分コストゼロ、間違いゼロ」でソフトウェアがやってくれるようになるのだ。
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