1個40円の「パチパチパニック」売上10倍に 子どもが減っているのに、なぜハジけたの?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月31日 8時30分
「パチパチパニック!」が急成長、人気の秘密は?
主要客層である子どもが少なくなる中、この10年で売り上げを10倍に成長させた駄菓子がある。アトリオン製菓(長野県須坂市)の「パチパチパニック」だ。2023年に丸紅の子会社として新たなスタートを切った同社は、ヨーグレットやハイレモンを手がけることでも知られている。
パチパチパニックは1個40円(実勢価格)と安価ながら、2024年3月期の売上高は約7億円にまで成長し、今春には生産能力を2.5倍に増強した。少子化が進行する中、どのようにして売り上げを伸ばせたのか。
●低迷期を経て、成長軌道へ
1998年に前身となる「シュワシュワパンチ」を発売して以来、パチパチパニックはアトリオン製菓を代表する看板商品として育ってきた。キャンディーの中に炭酸ガスを封入する製法は、国内で同社だけが持つ特殊技術だという。しかし、同社生産企画部長の高宮隆一氏は「10年以上前まで売り上げは横ばいで伸び悩んでいた」と振り返る。
約10年前を境に状況が一変したが、他社が真似できない商品を粘り強く提供し続けたことが急成長を支えた根底にある。また、新たな戦略として100円ショップに販路を開拓したことも大きな転機となったようだ。
●100円ショップへの販路拡大が成長を後押し
アトリオン製菓は元々、明治グループの一部商品を受託製造していて、営業力のある組織ではなかった。そこで、大手菓子メーカーとの競争が激しいスーパーやコンビニではなく、当時はまだ競合企業が少なかった100円ショップに着目した。取引先数が限られることから、少ない営業リソースでも取り組みやすい市場だったと高宮氏は説明する。
この戦略は見事に的中した。100円ショップの店舗数も過去10年で大きく増加しており、例えばダイソーは、2024年2月時点で国内外に5325店舗を展開し、20年前から2000店以上増やしている。現在、パチパチパニックの売り上げ全体に占める100円ショップでの販売割合は2~3割に達するという。
さらに、市場環境の変化も追い風となった。「大手メーカーが駄菓子のような低価格商品から撤退していった」と高宮氏は語る。大手が収益性を重視し高価格帯商品に集中する中、同社は逆に低価格帯市場でチャンスを見出した。
ただし、新規の販路拡大は容易ではなかった。社長の山下奉丈氏は「定期的な棚替えがある他のお菓子カテゴリーと違い、駄菓子売場は商品の入れ替わりが少ない」と、参入の難しさを説明する。
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