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「G-SHOCK Tシャツ」3時間で完売 カシオ、”色落ちにタフな服”開発しました

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月6日 6時10分

 そんなこんなで、プロジェクトがスタートしたわけだが、メンバーはどのような議論を重ねたのだろうか。「アプリのようなサービスはどうか。いや、食べ物や飲み物はどうか」といった話があったそうだ。さまざまなアイデアが出ては消えて、出ては消えてを繰り返す中で、なぜTシャツに決まったのか。

 プロジェクトメンバーの1人が「アパレルの大量廃棄」に着目した。環境省のデータ(2022年)によると、1日に処分される衣類は1200トンにのぼる。毎日大量の衣類が捨てられるわけだが、「少しでも長く使えたら、それは環境に優しいモノになるのではないか」(プロジェクトメンバー)と考え、Tシャツを開発することに。

 とはいえ、いきなり「色褪せに強い」Tシャツに決まったわけではない。G-SHOCKのコンセプトであるタフネスを考えると、「穴が開かない」「破れない」といったモノがいいのではないかといったアイデアが出てきて、実際に防弾チョッキで使われる素材でジャケットなどをつくってみた。しかし、これは失敗。「ゴワゴワして、日常で使えるモノではなかったですね」(同)とのこと。

 このときに、気付いたことがある。時計と全く同じ価値を提供しても、お客に支持されないのではないか。考えを軌道修正することで、「色褪せに強いTシャツはどうか」という話になったという。であれば、長く使えるので、タフネス+サステナブルの価値を提供できるのではないかと考えたのだ。

●さまざまなテストを実施

 さて、商品の方向性は決まった。しかし、である。電子ピアノや電卓などをつくっている会社にとって、アパレルは畑違いになるわけだが、どのようにしてTシャツを開発したのか。大きくわけて、2つのテストを実施している。

 1つめは「色褪せ」である。黒い服は太陽の光や漂白剤にさらされると、色落ちすることがある。ということで、プロジェクトメンバーは生地に使用する糸に注目した。

 一般的な生地は、染色された糸を使っている。しかしプロジェクトメンバーは、原料の段階から顔料(色の付いた物質)を混合した「原着糸」(げんちゃくし)を選んだ。特徴を一言でいえば、「色褪せに強い」からである。

 漂白剤を一定時間漬けて、色落ちするかどうか。特別な機械を使用して、10年分に相当する日光をあててみる。結果、どうだったのか。他の一般的な生地は色が大きく変化していたのに、G-SHOCKのTシャツはほぼ変化がなかったのだ。

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