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「G-SHOCK Tシャツ」3時間で完売 カシオ、”色落ちにタフな服”開発しました

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月6日 6時10分

 次に「強度」である。G-SHOCKを開発するときに使う機械を使って、対摩耗性を確認した。何度も何度も生地をこすりつけて、生地の状態はどうなっているのか。また、洗濯することで寸法に変化はあるのか。さらに、成人男性の頭を想定した円筒にTシャツを入れたり出したりして、首回りに変化はあるのかどうか。いずれも基準に達していたので、商品化のめどが立ったのだ。

 こうしてG-SHOCKのTシャツが完成したわけだが、社内からは「本当に売れるのか」といった不安があった。というのも、一般的なTシャツといえば、3000~5000円がボリュームゾーンだが、この商品の価格は1万2100円である(ロングTシャツは1万4850円)。

 冒頭で紹介したようにPRはしていないし、価格は高い。さらに、完成が遅れて発売日は8月30日である。例年であれば、店頭に秋物の商品が並んでいるタイミングなので、売れるかどうかの不安があったようだ。しかし、結果は3時間で完売。反響について、メンバーのある人は「G-SHOCKの価値を分かっていただけたのではないか」と振り返っていた。

●タフ作業が続きそう

 G-SHOCKのTシャツを開発するにあたって、最も苦労したことは何か。試験を何度も繰り返したことかな? と思っていたらそうではなく、商品の世界観をどのようにして伝えたらいいのか――。このことに頭を悩ませていたようだ。

 他社の事例をみると、自社の強みなどを生かして、アパレルに参入しているケースがある。例えば、サッポロビールはビールをつくるときの副産物(麦汁を搾ったあとに派生するモルトフィードや、ホップの収穫時に出る茎や葉など)からデニムを開発した。釣り具メーカーのDAIWAはカーボンの技術を生かして、耐久性と軽量をウリにした傘を完成させている。

 ほかにも事例がたくさんある一方で、失敗したケースも少なくない。高級ブランドがトイレ用品を扱うことで、多くのファンが首をかしげたことも。目の前にある「もうかりそうな話」につい手を出してしまって、ブランドの価値を下げてしまうことがある。

 このように考えると、Tシャツの「次」にどんな商品を開発するのかが気になるところである。「踏んでも潰れないタフなトイレットペーパー」や「100年使える靴下」などが登場すれば、話題になるかもしれないが、G-SHOCKファンの頭の中は「もやもや」しそうである。

 そうならないためにも、商品の世界観をブレずに開発することは欠かせない。プロジェクトチームのメンバーはこれからも、“タフ”な作業が続きそうである。

(土肥義則)

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