セブン&アイ「コンビニ専業」「売上30兆」は成功するのか 気になる買収提案のゆくえ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月7日 12時0分
より具体的な店舗数は、次の図の通りだ。
日本の店舗数は、ほぼ飽和状態。逆に成長余地がありそうなのは、インドや中国、フィリピン、ベトナム、メキシコなど人口が多い国だろうか。各国で店舗を経営してくれる信頼できるパートナーをどれだけ見つけられるか、また、どれだけ支援できるかが今後の成長を左右するだろう。
実際に成功している国もたくさんあるのだから、人的リソースを集中させてパートナー発掘とブランドの趣旨に沿うようにハンドリングすれば、確かに売り上げ30兆円も夢でない感がある。なお2030年までに、世界30の国と地域にまで店舗を展開したいという目標も掲げている。
●キーワードの「食」ではフレッシュフードが重要に
セブン&アイが、セブン‐イレブンの世界展開で重視しているのは「食」の強化だ。井阪社長は「フレッシュフードの売り上げ構成比と、客数には相関関係がある」としている。フレッシュフードとは、米飯やサンドイッチ、調理パンにサラダなどの商品を指す。例えば、フレッシュフードが約4割を占める日本では、1日平均で900人近くが来店する。オーストラリアでは約2割で650人ほど。カナダでは1割強で550人ほどとなっている。
要はどの国も「食」を強化していくことで、来店人数を増やして、利益率を向上できる自信があるようだ。
セブン&アイの24年2月期、チェーン全店売り上げ構成比を見ると、ファスト・フード29.2%、日配食品12.5%、加工食品26.6%、非食品31.7%となっている。つまり、実績が上がっていなかった国でも、ファストフードと日配食品の強化で、店舗が活性化して飛躍的に成長できるというわけだ。
2021年の東京五輪はコロナ禍の最中でもあり、諸外国の報道陣も街中のレストランになかなか繰り出せなかったとされる。代わって、セブン‐イレブンに限らず、日本のコンビニのいつでも開いている便利さが重宝され、その魅力が世界的に発信された。
特に「食」に関して、弁当やおにぎり、サンドイッチや総菜など、バラエティの豊かさやおいしさが評判になっていた。食は各国・地域・民族の伝統もあるので、どの国でも同じように品ぞろえをしてもうまくいかない。しかし、フレッシュフード重視という軸になる考え方を浸透させれば、アイテムが違えども、来店客数を増やせると考えているようだ。
●コングロマリット・ディスカウントに悩まされてきた
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