「過疎地」にチャンスあり ローソンがポツンと1店舗でも営業できる、2つの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月11日 8時0分
龍神村西店(ローソン提供、以下同)
ローソンは10月4日、和歌山県田辺市のスーパー跡地に「ローソン龍神村(りゅうじんむら)西店」(以下、龍神村西店)をオープンした。同社は過疎化により小売店が撤退し、食品や日用品の購入が難しい地域へ「地域共生コンビニ」の出店を進めており、龍神村西店もその一環となる。地域共生コンビニの取り組みについて、広報担当者に聞いた。
龍神村西店が位置する和歌山県田辺市の龍神村地区は、2023年7月に地域唯一のスーパーが閉店。最寄りのスーパーやコンビニまで、車で30分以上かかる状況となっていた。
広報担当者によると、「出店場所が地域の行政機関などが集まる中心部であり、十分な客数が見込めること」「物流網が整備されており、最寄りのローソン店舗から約18キロと物流負荷が少ないこと」から、利益を確保しながら店舗運営ができると判断。地域共生コンビニの出店に至った。
加えて、龍神村西店のオーナーからの要望もあったという。「オーナーの祖父は龍神村出身です。ゆかりのある龍神村に貢献したいというオーナーの思いが出店を後押ししました」(広報担当者)
●売り上げは想定の約3割増と好調
龍神村西店では、おにぎり、デザート、揚げ物、店内で調理した弁当などローソンの標準的な商品を展開する他、生鮮品や冷凍食品も取り扱っている。日常生活に必要な生鮮品や日配食品、冷凍食品が売れている他、不定期で実施している卵の特売セールも好評だという。
利用客の中には買い物カゴいっぱいにまとめ買いする人もいて、売り上げは想定の約3割増で推移しているという。詳細な数字は明かせないとしたものの、客単価も通常店舗より高めだそうだ。
商品の品ぞろえについては利用客の声を反映しており、例えば「野菜をもっと置いてほしい」との要望を受けて、野菜の品ぞろえを強化。直近では「精肉を取り扱いしてほしい」との声もあり、検討中だという。
●過疎地域への出店、なぜ可能?
ローソンが地域共生コンビニを出店する背景には、地方や山間部などの過疎地域で小売業が撤退し、地域の「買い物ができる場所」(以下、買い場)を維持することが難しくなっていることが挙げられる。「買い場の維持が難しくなる流れは、人口減少や少子高齢化に伴い、今後ますます加速していくことが予想されます」(広報担当者)
こうした過疎地域に出店し、地域住民の買い場としての機能を果たすことは大切だが、店舗を運営していくためには利益の確保も必要不可欠だ。広報担当者は、コンビニが過疎地域でも営業できる2つの要因があると説明する。
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