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「倍々ゲーム」のバーガーキング 人気の背景と「600店舗」に向けた死角とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月10日 6時15分

 このように国内のバーガーキングは、撤退や経営陣が次々に変わってきた歴史を持つ。大量閉店が話題となった2019年には一時、約100店舗から77店舗にまで規模を縮小したのは先述した通りだ。しかし、近年は以前の不調がうそかのように急速な事業拡大を果たし、現在は200店舗超を展開する。

 バーガーキングのメニューは単品で概ね500~1000円ほどで、マクドナルドより高い。セットメニューはワッパーが890円で、マクドナルドより200~300円高い。しかし、その分重量感があるのも特徴である。

 例えば看板商品のワッパーは、ビッグマックよりサイズ・カロリーが大きい。重量換算でビッグマックの約1.3倍、ハンバーガー2.7個分である。単純に商品が大きい分、しっかり食べたい層を取り込んでおり、「ワッパーJr.」「ワッパーチーズJr.」といった一回り小さいバーガーを提供していることで幅広い層を取り込めているのではないか。

●相対的に値ごろ感が上昇したのも追い風に

 バーガーキングの肉質や味に対する評価は、直火焼きに由来する。マクドナルドとバーガーキングは両者ともビーフ100%のパティを使っているが、バーガーキングでは自前の「ブロイラー」と呼ばれる機械でパティを直火焼きしている。直火でできた焦げ目が肉の香ばしさと旨味を引き立てているのだ。

 従来のバーガーチェーンを100円台の回転寿司に例えるなら、バーガーキングは回転寿司と本格的な寿司店の中間に位置する「グルメ回転寿司」とでもいえようか。それでいてセットの価格帯が200~300円程度しか変わらないのなら、質を求める客はバーガーキングに流れるのは納得だ。デフレ経済下では価格帯がネックだったものの、近年は値上げが続き、マクドナルドの値ごろ感も薄れており、バーガーキングに追い風になっている。

●巧みなSNS戦略で「若返り」に成功

 近年の巧みなSNS戦略も、知名度を向上させるとともに規模拡大で一役買っている。2020年にマクドナルド秋葉原昭和通り店が閉店した際は、近隣の店舗に「22年間たくさんのハッピーをありがとう」という垂れ幕を掲げ、マクドナルドを称えるような文章を掲示した。――と思われたが、文章の左端を縦読みすると「私たちの勝チ」となっており、話題を呼んだ。

 この春に「バーガーキングを増やそう」キャンペーンを実施したのも記憶に新しい。バーガーキングにふさわしい物件の情報を消費者から集め、実際に出店が決まったら情報提供者に10万円を贈呈するというキャンペーンである。こちらもSNSで話題となり、同期間に7万8000件の情報が寄せられ、実際に12店舗の出店が決定している。

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