1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月13日 8時10分

 「お前はどうしたい?」

 と尋ねる。部下に考えさせることで成長を促したいからだ。考えあぐねて焦っている部下を見ても冷静に対応する。

 「そんな顔をしても、答えは教えないぞ。お前はどうしたい? よく考えるんだ」

 第2に、上司自身も答えが分からないので尋ねるパターンだ。

 「お客さまの課題解決の提案をしたいと思っています。しかしいろいろとヒアリングしたら課題が山積みで……。どこから手をつけたらいいのか分かりません」

 部下からこのような相談を受けたとしよう。しかし上司も判断がつかない。あまり深く考えたことがない上司は、具体的な事情を知っても答えを見いだすことができそうにない。適切なアドバイスも思い浮かばない。そういう場合、

 「お前はどうしたい?」

 と尋ねて逃げるのだ。部下に考えさせるためではなく、自分の中に答えがないのでそう問いかけるしかないのだ。

 「考えても分かりません。課長はどう思いますか?」

 と聞かれても、

 「大事なことは、お前がどうしたいか、だ」

 と言って逃げる。

●優越感に浸りたいだけ?

 第3に、答えを教えるべきなのに優越感に浸りたいパターンだ。このパターンが厄介である。

 「お客さまから財務分析をしてくれと言われました。資料作成についていろいろと教えてください」

 部下からこのような相談を受けたとしよう。しかしマウントをとりたい上司は、こう尋ねるのだ。

 「お前はどうしたい?」

 と。部下が財務分析に関してそれなりの知識、経験があるのならこのように考えを促してもいいだろう。しかしもし前提知識や経験が足りない場合は、考えようがない。

 「どうしたい? と聞かれても、まったく経験がないんで」

 「あれ? 社内研修で習っただろ?」

 「研修で習いましたけど、基本的なことしか教わってません」

 仮説も立てられないような部下であれば、答えを教えてあげるべきだ。

 「まず直近3期の財務諸表を準備してくれ。そして企業の状況を把握したあと、安全性分析から始めるか、それとも収益性分析や生産性分析でいくか決めよう」

 このように助言すれば、

 「分かりました。まずは財務諸表を準備します」

 と部下は答えられる。さすが上司だ、明確なアドバイスをもらえた、とホッとするだろう。反対に、

 「お前はどうしたい、と俺は聞いてるんだ」

 と言い続けたら、どうか。部下の安心安全の欲求は満たされない。一歩間違えれば「ハラスメント」と受け止められる可能性もある。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください