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「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月13日 8時10分

●自己満足を味わう上司たち

 前述した通り、部下に「お前はどうしたい?」と尋ねる上司の中にも、いろいろいる。キチンと部下の成長を考えて問いかけている場合もあれば、アドバイスするのを逃げる場合も、マウントをとりたい場合もあるのだ。

 ただ、どのケースであっても「お前はどうしたい?」と問いかけている上司が「上から目線」的であることは間違いない。本人にそのつもりはなくても、部下からすれば、

 「どうしてアドバイスしてくれないんだ?」

 「ひょっとして課長も分からないから?」

 「優越感に浸りたいだけ?」

 と疑念を抱いてしまうこともあるだろう。

 質問とは、分からないことを尋ねること。設問とは、問題を設定して尋ねること。問いとは、お互いが分からないことを尋ねることだ。

●どのスタンスで部下と対話をするのか

 上司はこの3つの違いを正しく理解して部下とコミュニケーションをとるべきだ。部下が困って相談に来ているのに「設問」スタイルで尋ねられたらイラっとするだろう。

 不確実性の高い時代だ。今は質問や設問よりも「問い」の重みが増している。部下が分からないだけでなく、上司も答え(仮説)が思い浮かばないことが多いのだ。

 だから「お前はどうしたい?」という問いかけよりも、「実は私も分からないことが多い。一緒に考えないか?」このように共創していく姿勢のほうが大事になってくるだろう。

●誠実な上司は部下にどんな問いかけをするか? 3つの問い

 最後に、本当に部下の成長を促したいなら、次のような問いかけを心がけよう。意識すべき3つの問いかけを紹介する。

1. 「今の状況をどう捉えているか?」

2. 「そもそも目的は何だったか?」

3. 「どこに問題があると思うか?」

 まず、部下が現状をどのように理解しているかを確認する。これが現状把握だ。続いて、あるべき姿を問うてみよう。具体と抽象の往復運動をさせるのだ。そうすれば「問題=あるべき姿-現状」なので、問題点がハッキリとイメージできるようになるはずだ。

 「お前はどうしたい?」

 という抽象的な質問よりも、こうしたほうが部下は考えやすいはずだ。問いの切り口が具体的だからだ。くれぐれも、

「最近どう?」

「何かあったらいつでも相談して」

 といったアバウトな声掛けで上司が自己満足してしまうのは避けたいところだ。ぜひ具体的な切り口を意識して部下とコミュニケーションをとろう。

 著者・横山信弘(よこやまのぶひろ)

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