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「四十八漁場」リピーターが4倍に “友だち”が増えるモバイルオーダーは飲食店を変えた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月25日 6時15分

 「ダイニー導入以前は、LINEの友だち登録で1品無料のサービスを提供していましたが、登録数が伸び悩んでいました。導入後は自動で友だちが追加されるので、あっという間に10万人を超え、現在は20万人近くに。LINEでの販促における反応が明らかに異なり、販促による再来店率は4倍以上に増加しています」(高畑氏)

 友だち登録後にブロックする人やメッセージを開封しない人もいるが、それでも母数の増加により手応えを実感しているという。その後、2024年4月には塚田農場の直営店66店舗にもダイニーのモバイルオーダーを導入している。

●飲食業界に特化した「銀行」の構想も

 山田社長は、大学在学中に飲食店でのアルバイトを経験しており、非効率な仕組みを散々見てきたことがきっかけで、会社を創業したという。

 「レジ締め後の生産伝票を印刷して手打ちでExcelに打ち込んだり、営業後に今日接客したお客さんの似顔絵をスケッチブックに手描きしたり(笑)。作業が長引いて終電を逃すこともあったし、絵心がない僕が似顔絵を描いても正直、意味はないわけで。そういう課題を自分だったら解決できると思い、飲食特化のシステムを開発しました」

 山田氏が長期的な展望として掲げているのは、飲食業を人気の職業に押し上げていくこと、外食産業の成長によって日本のGDPを上げることだ。その実現に向けて次の一手になるのが、「飲食業界特化の銀行になること」だという。

 「飲食業界で働く人は、金融サービスを受けづらい状況があります。その人自身はスキルが高くても、飲食業というだけでクレジットカードの与信枠が低かったり、住宅ローンの審査に落ちたり。魅力的な業態を作って多店舗展開をしたくても、十分な金融サービスにアクセスできないことも。

 こうした問題を是正するには、従業員のあらゆる行動をデータ化して信用を可視化していく必要がある。接客、調理、マネジメントなどのスキルや勤務態度など、個人のパフォーマンスをデータ化することで信用の裏付けになると考えています。そうした情報を基に金融サービスの利用が広がれば、飲食業界で長く働く人が増え、人気の職業になるのではないでしょうか」

 飲食業界のインフラとなるDXソリューションの提供により、業界が抱えてきた根本の課題解決に挑むダイニー。ここから1~2年以内にフィリピンやマレーシアなどアジア圏への進出も見込む。スタートアップならではの勢いは、しばらく続きそうだ。

(小林香織)

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