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生クリーム9割の「スイーツ缶」、なぜ人気? がむしゃらに売らず30万缶突破の秘密

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 6時15分

 期間限定商品を発売する狙いは、「ファン層を広げるため」だという。

 「生クリームは料理にも使われますし、意外と何にでも合う万能食材なんです。そうした要素を生かして、生クリームが好きな人だけでなく、苦手だと思っていた人にも生クリームの新しい食べ方を提案していきたいなと。新しいファンを取り込む入口として、コンスタントに新商品を開発しています」

 2024年8~9月には、これまでに発売した期間限定商品と既存の「なまくり」を含めた10種類から人気ナンバーワンを競う「なまくり総選挙」を実施。1位となったのは「10倍ちょこみんと」(250ml、850円)で、9月17日~11月中旬頃まで再販した。

 人気がありそうなチョコレートやカスタード味よりも、チョコミントが1位になったのは意外だったが、井上氏はその理由をこう分析する。

 「ニッチな商品を好きな人たちって行動力があるんです。『なまくり』自体もニッチで販売場所も限られていますが、生クリーム好きの人たちは、あえて時間とお金をかけて買いに来てくれます。チョコミントも『チョコミン党』という言葉があるぐらい熱狂的なファンがいて、その人たちの行動力のおかげで1位になったのでしょう」

 実は、「10倍ちょこみんと」という商品が生まれた背景にもチョコミン党の声が反映されている。2023年8月に「10倍ちょこみんと」の前身となる「ちょこみんと」を発売したところ、「ミント味が薄すぎる」とチョコミン党から多くのクレームが入ったのだ。そこで、一旦製造をストップしてミントの風味を強くした「10倍ちょこみんと」を発売したところ、チョコミン党から支持を得たという。

●なぜニッチなのに売れているのか

 一部の層にしか刺さらなそうなニッチな商品なのに、なぜこれほどの反響があるのか。この問いに対して、井上氏は「届け方を工夫しているからではないか」と答えた。

 「SHIBUYA109やアドアーズサンシャイン(池袋)など多くの人流がある場所で販売していますが、それでも通りすがりの人が偶然見つけて買うのではなく、すでに『なまくり』を知っている人しか購入しません。認知したうえで購入してもらうことで満足度が上がり、ファンが増えると考えていて、あえてそのような届け方をしています」

 9割が生クリームという意外性のある商品なので、何も知らずに購入してしまうと食べきれないことがあり、結果として満足度が下がってしまうという。「生クリームだけで満たされたい」という「なまくり」に興味津々な層だけに届けるために、SNSを駆使して情報を届け、狙って買いに来てもらう流れを意図的につくっているそうだ。

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