大失速の日産「ゴーンの呪い」いまだ抜け出せず? V字回復に向けた急務とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 5時45分
●求心力がない状態で、複雑な問題への対応を迫られた
今回の決算を受け、大失速の理由に言及した日本経済新聞の記事では、日産の企業風土を問題視する記述が目を引きました。
「ゴーン時代から払拭(ふっしょく)できない経営風土」として、幹部社員が「指示待ち」をし、モノいわぬ習慣があるというのです。ゴーン氏は1999年、就任直後から「リバイバルプラン」に着手して圧倒的なトップダウン経営で改革を押し進め、成果を挙げてきました。絶対的なトップとなった氏は、その後の経営安定期も独断で物事を進めて、多くの指示待ち幹部を生み出しました。そしてその時代の幹部たちが、いまだに残っていることが、風土を変えられない原因だというのです。
しかし、問題は単にゴーン時代をひきずる幹部社員たちの指示待ち風土だけではありません。ゴーン氏退場以降の、経営体制の安定感欠如も大きく関係していると見ています。
2018年にゴーン氏の不祥事(金融商品取引法違反容疑)が発覚、逮捕・解任となりました。その後を受けたゴーン時代のナンバーツーである西川廣人氏に2019年、不当に多くの報酬を得ていた疑惑が浮上し、事態を収拾すべく辞任を余儀なくされました。現在の内田社長は、この混乱の収拾役として専務から急遽の登板となり、安定感欠如の問題はここから始まっています。
内田社長が商社出身ということもあってか、体制当初は提携先であるルノー出身のアシュワニ・グプタCOOおよび生え抜きで技術畑の関潤・副COOとの三頭体制でしたが、関氏が就任からわずか1カ月で日本電産の永守重信CEOに引き抜かれるという事態が発生。その後も副社長やCQO(最高品質責任者)らが相次いで退任するなど、経営体制に安定感を欠く状況が続き、内田社長の求心力に疑問符が付く状況が露呈しました。
さらに2023年は、社長との確執がささやかれたグプタCOOも辞任。このような安定感を欠く経営体制が、事業戦略を推し進める上で障害になったことは間違いないでしょう。
EVを巡る100年に一度とされる業界の大変革期に、このような不安定な体制下で、ゴーン氏退任後のルノーとの提携内容見直しや資本関係の綱引きなどの対応を迫られたのは、かなり危機的状況だったといえます。結果としてルノーの支配下を抜け出したものの、これまでルノー傘下の経営が長く続いていました。
それにより、常にルノーの顔色うかがいをしつつ戦略を決定する流れが定着していたことは、経営のスピード感を失わせる一因になったといえそうです。未解決で残されたルノー絡みのいざこざもまた、ゴーン氏が残した負の遺産といえるでしょう。
この記事に関連するニュース
-
日産低迷、「売れる車がほとんどない」北米の窮地 特需は去り、本来の実力で明暗分かれる局面に
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 7時40分
-
9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月19日 9時26分
-
日産9000人削減の衝撃 「技術自慢の会社」ほど戦略で大コケする理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月13日 6時15分
-
日産、世界で9000人削減 中間決算、純利益93%減
共同通信 / 2024年11月7日 18時54分
-
日産が時価総額で業界6位に 米国でのEV戦略が躓きに
財界オンライン / 2024年10月29日 18時0分
ランキング
-
1円上昇、一時150円45銭 1カ月ぶり円高ドル安水準
共同通信 / 2024年11月28日 7時45分
-
2大失速の日産「ゴーンの呪い」いまだ抜け出せず? V字回復に向けた急務とは
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 5時45分
-
3お父さん、ちょっとアフリカに行ってくる…〈60歳定年で退職金2,500万円〉〈65歳で年金月19万円〉、堅実に生きてきた55歳父が突然の早期退職。仰天行動に家族が絶句「うっ、うそでしょ⁉」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月28日 5時15分
-
4弘南鉄道、大鰐線の運行休止へ=マイカー普及で利用者減―青森
時事通信 / 2024年11月27日 20時2分
-
5VW、中国ウイグルの工場売却 強制労働で批判、撤退へ
共同通信 / 2024年11月27日 22時7分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください