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「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月4日 8時15分

 しかし、あまりに自責の念にかられるのは問題だし、危険だ。

●なぜ「自責思考」は危険なのか? 3つの理由

 「自責思考」が危険な理由を3つ紹介しよう。

1. 思考停止に陥る

2. 精神的な負荷が過剰になる

3. 上司の責任放棄を助長する

 それでは、想定事例を使いながら一つ一つ解説していこう。

思考停止に陥る

 会議室に10人が集まり、プロジェクトの振り返りが行われていた。

 「このプロジェクトが失敗した原因は何だと思う?」

 部長がこう問いかけると、新人のAさんは考え込んだ。確かにスケジュール管理は甘かった。しかし予算申請しても課長は聞く耳をもたず、意識の低い契約スタッフにも手を焼いた。そう思いながらも、

 「全て私の段取りが悪かったからです、申し訳ございません」

 そう答えた。以前から「自責思考を持て」と言われ続け、問題があれば「私が悪い」と言うクセがついていたからだ。すると部長は満足げに、

 「他責にしない姿勢は立派だ」

 と言い放った。本来なら予算やリソース配分の問題として議論すべきだったのに、Aさんの努力不足で片付けられてしまったのだ。

精神的な負荷が過剰になる

 営業部の月次会議。課長は売り上げ目標未達の原因を若手のBさんに尋ねた。

 「退職された方の引き継ぎが不十分で……」

 と話し始めたBさんの言葉を遮り、

 「引き継ぎができていたら、売り上げ目標は達成したのか?」と一喝。

 「確かに……」

 とBさんは思いとどまった。1000万円の目標に対して670万円の案件分が引き継ぎ不十分でショートした。これは誰もが知っている公然の事実である。ただ、だからといって不足分を埋められなかったのは、自分の責任かもしれない。Bさんはそう思いなおした。

 「申し訳ございません。苦しまぎれに言い訳をしてしまいました」

 計算すると分かる。平均顧客単価50万円の商材で700万円近いショート分を補うには、14~15社から受注を取らなくてはならない。そんな芸当は、大ベテランの営業でさえむちゃな数字だった。しかし、そのことを目の前の課長は分かっていないようだった。

 「とにかく、目標未達成なのは事実だ。反省するように」

 このようなやりとりの連続で「全て自分が悪い」と思い込まされたBさんは、徐々に自信を失っていった。

 数カ月後、Bさんは体調不良で休職することになった。コントロールできない要因まで自分の責任と感じ、心が折れてしまったのである。

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