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「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月4日 8時15分

上司の責任放棄を助長する

 新商品企画のブレストでのこと。若手社員のCさんが人員不足を指摘した。品質を検証するベテランの意見、知恵が必要と訴えたのだ。

 すると部門長は眉をひそめ、

 「人員が足りないというのは他責思考だ。知恵を絞って自分で何とかしろ」

 と一蹴した。本来なら部門長が解決すべき人員配置の問題を「他責にするな」という言葉で棚上げにしたのだ。結局、改善されずにプロジェクトは進められ、品質に問題が生じた。しかし部門長は、

 「まさかこんな品質管理もできないとは想像していなかった。私の人選ミスかな」

 とCさんを叱責。上司としての責任を放棄し、全てを部下の努力不足に転嫁したのである。

 このように「自責思考」を過度に要求すると、部下に過度な負担を強いる危険性がある。ときには上司の無責任な逃げ道にもなってしまう。

 大切なのは適切なバランスだ。部下の努力を促すことは必要だが、それは上司や組織の責任を放棄することではない。

 では、どのように指導したらいいのか?

●「自責」と「他責」のバランス

 「他責100%」でも「自責100%」でもいけない。大切なのは「自責と他責のバランス」だ。上司は部下と一緒に、次の3つを整理しよう。

1. 自分でコントロールできる部分

2. 自分ではコントロールできない部分

3. コントロールできる部分をどう改善するか

 それでは、一つ一つ解説していこう。

自分でコントロールできる部分

 行動したり、考えるだけでできるものなら自分でコントロールできる。それを怠ったら自分の責任だ。

 例えば、顧客にアポをとること、スピーディに返信すること、メンバーや上司のスケジュール調整をすることなどが挙げられる。

自分ではコントロールできない部分

 一方、自分でコントロールできないことも多い。一定の能力を身につけるには時間がかかる。誰かと関係を構築するのにも、それなりの期間が必要だ。

 例えば取引先の社長と調整したくても、関係ができていなければそれは簡単ではない。

 「部長、先方の社長と連絡をとってもらえませんか?」

 とお願いし、

 「他人に頼るな。そんなこと自分でやりたまえ。知恵を絞るんだ」

 と突き放されたらさすがに、やる気がなくなるだろう。品質管理の件もそうだ。知識も経験も不足しているのに、「自分でやれ」と言われたら心が折れる。自分でコントロールできることではないからだ。

改善策の検討

 本人がコントロールできる部分と、コントロールできない部分を仕分けできたら、コントロールできる部分をどう改善するかに思いを巡らせればよい。コントロールできない部分については、組織として何をサポートできるかを考えるべきだ。

 このように上司と部下が共に考え、次につながる建設的な振り返りができれば、部下の成長にもつながっていく。大切なのは一人で抱え込ませないことだ。

 プロジェクトが失敗したのなら、まず「なぜ失敗したのか?」を上司と部下で一緒に分析しよう。そのうえで、上司は「私にも責任がある」と認めるのだ。上司も自責思考を持ち、

 「自分の指示があいまいだった」

 「もっと早く気付いてあげられた」

 このように伝えることで、部下も素直に受け止められる。コントロールできる部分を改善する意欲も湧いてくるだろう。

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