新クルーズ船「MITSUI OCEAN FUJI」就航 激化する「富裕層の獲得競争」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 9時25分
「当面は首都圏の港を発着する2~4泊の短期運航とし、料金は1人10万~30万円を想定。年間40万人の集客で、約1000億円の売上高を見込むとしています。同じくショートクルーズを提供する日本船にとって、手ごわいライバルとなる可能性は十分にあります」
ディズニーのブランドは日本人、とりわけ子ども連れ家族にはなじみがあるだけに、郵船クルーズ、商船三井クルーズにとっては油断できない。さらにカナマル氏は「富裕層が増加しているとは言うものの、就職氷河期世代も多数存在するのが日本の40~50代です」と話す。
「氷河期世代が高価な日本船に乗る可能性はそこまで高くなく、国内富裕層だけに絞った日本市場の小さなパイを2社4隻で奪い合うことになりますから、激しい争奪戦になると思われます。今後は、海外富裕層の取り込みが重要になってきます。現時点では、日本船2社とも、欧米豪などの富裕層をターゲットにしているように思いますが、さらにアジア圏の取り込み戦略も描いていかざるを得ないでしょう。ただ、日本船は日本人の日本人による日本人のためのクルーズを長く手掛けてきたことで、日本人常連客の抵抗感(海外乗船者が増えること)も強いと聞きます」
今後は郵船クルーズと商船三井の両社の対応が注目される。
●日本船主vs.外国船主 競争激化は必至
2025年以降は日本にも本格的なクルーズが普及する時代になりそうだ。クルーズは移動が楽で効率的に観光地を回れることから、中高年に人気の旅行スタイルになってきている。こうしたことから日本船主のクルーズ船と、コスパが良いといわれる外国船主の船との間で、競争が激化することは必至で、どこまで乗客を獲得できるかが問われている。
外国船の船は日本船のクルーズよりもクルーズビジネスでのノウハウの蓄積があり、船上でのサービス面での優位性はある。一方で日本船は、日本食や日本文化を体験してもらうなど、独自のきめ細かいおもてなしサービスによって外国人富裕層を捕まえられるため、今後は両社によるサービス競争が関心を集めそうだ。
クルーズの客層はリピーターが多く、一度好きになると同じ船で何回もクルーズをする傾向があるため、特に最初のクルーズでどのような印象を持たせられるかが重要になる。
(中西享、アイティメディア今野大一)
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