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新幹線が止まったらどうなる? JR東海の事故対応を取材してきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月14日 9時16分

・火災発生時の鉄けた健全度把握訓練

・ICTを活用した被災構造物の健全度把握訓練

・VRを活用した列車防護スイッチ取り扱い訓練

・衛星通信車によるカメラ映像の伝送訓練

・沿線火災による光ケーブル損傷を想定した接続復旧訓練

・停電発生時の車両屋根上点検及び処置訓練

・架線断線発生時の復旧訓練

・ミリ波列車無線の電源停電を想定した高圧電源車接続訓練

・駅間に停車した列車からのお客様救援訓練

盛夏期に停電が発生した際の対向列車を用いた救援訓練

 複線の上下線に列車を並べ、乗降ドアの位置を合わせ、渡り板を設置して救援する。

 上下線のどちらか、あるいは列車側の故障により車両が停電した場合、空調など車内サービス設備のほとんどが使用不可能になる。駅から離れた中間地点では避難行動も難しく、車外に出ることも危険だ。酷暑になれば客室の温度が上昇し、乗客の体調悪化も懸念される。そこで、停電停車した列車の隣に救援用列車を並べて、乗客を脱出させる。

 訓練では記者たちも渡り板を行き来して脱出を体験した。渡り板は薄型の折りたたみ式ながら、大きくたわむことなく安心して渡れた。駅で車椅子利用者が使う渡り板に似ていて、今回の訓練でも車椅子利用者の訓練が行われた。

 訓練の待機から開始までに少し時間があった。救援側の列車にとっては、駅のような停止位置目標がないため、両列車のドア位置を合わせる作業に時間がかかったようだ。この作業のスピードアップが課題だと思う。また今回の体験者は、少人数で「もの分かりの良い人々」ばかりだった。実際に避難する事態になって、疲弊した乗客たちがドアに詰めかけたときの乗客整理も検討課題だと思われた。

巨大地震発生を想定した線路・脱線防止ガードの点検訓練(今年初)

 巨大地震発生時、レールに並行して敷設した脱線防止ガードを目視で点検する。

 東海道新幹線は線路の内側に脱線防止ガードを設置している。脱線防止ガードはレールと並行して設置する鋼材のことで、ヨコ方向に大きな揺れがあった場合に、車輪がレールから逸脱するのを防ぐ。さらに、台車側に下方へ伸ばした「逸脱防止ストッパ」を設置し、これを脱線防止ガードが受け止めて車両の逸脱を防ぐ。

 脱線防止ガードは2019年度までに、東海大地震が想定される区間の本線や、高速で通過するトンネルの手前、「三主桁(さんしゅけた)」の手前など、合計596キロメートルに設置が完了した。現在は東海道新幹線の8割の線路に設置済みだ。2028年度までに全区間の本線に設置を拡大し、各駅の副本線(通過列車を待避する側の線路)と回送線なども完了する予定だ。

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