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「医療用大麻ビジネス」は海外で右肩上がり 日本が参入する日は来るのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月18日 6時10分

 もちろん、右肩上がりの成長が予想されるグリーンラッシュの中で、キセキグループとしても「医療用大麻の製造と販売」は通過点に過ぎない。

 「カンナビノイド創薬、つまりは大麻成分を用いた医薬品のベンチャーを立ち上げて、日本発の大麻医薬品を開発したい。まずは成分の有効性が期待されている抗てんかん治療薬、がん患者の緩和ケアにおける鎮痛領域での治験を進めていきます」(山田氏)

 そう聞くと「ベンチャースピリッツは立派だけれど、なかなか難しそうだな……」と感じる人もいるかもしれない。先ほど紹介したように日本では「大麻」という響きを耳にするだけで、「社会から撲滅すべきもの」と感じる方も多くいらっしゃる。

 つまり、治験を始めた途端、中止しろというSNSデモが始まったり、治験にかかわる研究者や研究機関への嫌がらせなどが大盛り上がりしそうなリスクが高いのだ。

 そういった社会の反発もあるだろうが、個人的には紆余曲折を経ながらも、日本でも大麻医薬品の治験や開発が進められていくのではないかと思っている。

 それは、少子高齢化が進んでいるからだ。

●日本にやって来る未来

 日本は人口の3分の1以上が高齢者だが、年を追うごとにこの比率が増えて世界トップレベルの超高齢化社会になる。それはつまり「多死社会」ということでもある。

 「死にゆく人」がマジョリティーになった社会で最大の関心事は何になるかといえば、やはり「穏やかな死」だろう。今、「豊かな老後」のトピックスが社会の関心を集めているように、人生の最期を安らかに迎える方法が盛んに論じられている。

 ただ、今の日本の終末医療で、それはなかなか難しい。

 実際に親しい人を看取った経験がある人は分かるだろうが、ドラマや映画でよく見かける「看取ってくれた人たちに別れを告げ、穏やかな表情で眠るように息を引き取る」ような最期を迎えられる人はかなりラッキーなのだ。

 終末医療に詳しい国立がん研究センター東病院精神腫瘍科長、および先端医療開発センター精神腫瘍学開発分野長の小川朝生氏はこう述べる。

 「生命予後が1カ月を切ると、2人に1人は“せん妄”という症状に陥ることが多いです。これは体の余力がなくなり、多臓器の不全状態や痛みによる睡眠の質悪化、薬の相互作用などの原因で起きるもので、注意力や思考力が急激に低下して、こちらが話かけてもぼうっとしてしまったり、つじつまの合わない話をしてしまったりします。

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