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「医療用大麻ビジネス」は海外で右肩上がり 日本が参入する日は来るのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月18日 6時10分

 また、気分変動が激しくなって、急に怒りっぽくなったり性格がガラリと変わる。亡くなる直前、急に介護をしてくれている家族に怒鳴ったり、悪態をついたりする人がいるのもこの“せん妄”が原因と言わています」

 このような死に方にまつわる「厳しい現実」がある中でも、当事者として特に避けたいと思うのは「痛み」ではないか。

●「医療用大麻」にかかる期待

 がんで亡くなる人の場合、激しい痛みが続くことも多いし、がんによって腸が閉塞したことによる吐き気で苦しめられる。最近は「緩和ケア」ということで、オピオイドという痛み止め薬が処方されて痛みなく過ごせる人も増えたが、それで痛みが完全に消えるわけではない。つまり、「穏やか」と対極の形でお亡くなりになる方もまだ一定数存在するのだ。

 現在、医療界ではさまざまな方面からどうにかこの「死の間際の痛み」を和らげる方法がないかと模索している。その中の一つの可能性として、「医療用大麻」が期待されている。

 「医療用大麻には、オピオイドでは取り切れないような痛みが多少なりとも緩和できるのではないか、ということが、一つの可能性として言われています。また、抗がん剤の副作用として吐き気やだるさも軽くなるんじゃないかと言われていますね」(小川氏)

 そう聞くと、気が早い人は「いいじゃないか! オレも亡くなるときは医療用大麻で穏やかに死にたいな」と思うかもしれない。だが、実はこの分野では高いハードルがある。「薬」としての医学的根拠がまだ確立されていないのだ。

 「海外で医療用大麻が薬として確立しているのは、てんかん治療薬と、一部のがん治療中の副作用止めくらい。他の病気についても使われてはいるのですが、治療効果に関してはしっかりと検討されていないんですよ」(小川氏)

 つまり、臨床的なエビデンスがほとんどないというのだ。日本はいざ知らず、欧米で「医療用大麻」がかなり以前から使われているのだから、ちゃんとした治験や臨床研究などが行われていそうなものだが、この問題は「大麻」の位置付けが関係している。

●日本で言う「漢方」のようなもの

 「海外での医療用大麻の扱いは、日本での『漢方』のような感じだと思ってもらうといいかもしれません。あまりに古くからあって、薬というよりもハーブのように民間療法で使われてきたことで、治療効果がきっちり検討されてこなかった。それが最近になって急に“薬”として認められた。ようやく医学的な検証が始まったという段階ですね」(小川氏)

 そんな未開拓な分野に、進出するのは大企業には難しい。上場企業ならば株主から反発も予想される。しかし、ベンチャーならば勝負をかけられる。場合によっては「世界」を獲ることもできる。

 「まだ医学的な検証が行われていない」ということは、裏を返せば「最初に新しい効果を見つけられるかもしれない」ことでもあるからだ。

 まだまだ先の見えない分野の中で、医療用大麻ベンチャーがどのように戦っていくのか注目したい。

(窪田順生)

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