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ドリップもサイフォンも、これ1台でOK! タイガーの「毎日飲みたくなるコーヒー」舞台裏

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月24日 6時10分

 抽出プログラムの構築は手探りで進めた。久木野さんは次のように話す。

 「浸漬式と透過式のハイブリッドにすることで、透過式で淹れたコーヒーより雑味を抑えられるイメージを持っていました。とはいえ、そのような味わいを実現するためにどうやってコーヒーメーカーを動かせばいいかについては、抽出プログラムをつくっては実験と検証を重ねて決めていきました」

 味づくりの難しさは、抽出プログラムだけでは味が決まらない点にある。弁の大きさ、上から湯を注ぐスピード、ドリッパー内側のリブ(溝)の入れ方など細かいところも考慮しなければならなかった。

 コーヒーロースター(焙煎士)のアドバイスを受けながら味づくりは進めたが、最初のころの評価は「いいものはできそうな傾向はあるけど、まだやりきってはいない」。これまで味わったことがないようなものができそうだったが、全体的に味が薄く、浸漬式の特徴を十分に生かせていなかった。

 それでも、同社としては透過式と浸漬式のハイブリッドは、方向性として間違っていないことを確認できた点が大きな収穫になった。おいしいコーヒーが抽出できるレベルに達したのは2023年11月ごろで、そこからさらに1年近く「Rich」「Strong」「Iced」のモードごとの味をつくるのに時間がかかった。

●視覚に訴え嗅覚を刺激するデザイン

 コンセプトに掲げた「毎日使ってもらいたい」を実現するためには、所有欲が満たせるデザインも求められた。

 外見の特徴は、抽出過程が見えるようコーヒーサーバーとドリッパーを透明にしたこと。ドリッパーを本体内に収め見えないようしているコーヒーメーカーが多い中、本体の外に出し、さらに透明にしたことで、弁を閉じているときは湯がたまっていく様子、弁を開いたときはドリップが始まって湯が減っていく様子が分かるようにした。抽出過程を見えるようにし、視覚に訴えるところはサイフォニスタから受け継いだ。

 「コーヒーを淹れている時間を楽しんでほしいという思いから抽出の様子が見えるよう、ハンドドリップでコーヒーを淹れるときと近い雰囲気を出すことにしました」と久木野さん。視覚に訴えるだけではなく、香りを感じてもらい嗅覚を刺激することも心がけた。そのため、本体とドリッパーの間、本体とコーヒーサーバーの間に意識的にすき間を設け、香りが立ち上りやすくした。

 価格は1台3万3000円(公式オンラインストア)。販売はECサイトがメインで、家電量販店でも一部取り扱っている。「当社のコーヒーメーカーのブランディングに重点を置いた商品にしたいという思いがあり、販売数量拡大のためだけに開発した商品ではありません」と間谷さんは明かす。

 売れ行きはいまのところ、計画通りに推移しているという。今後の販売動向を見ながら本格的な販促を検討していく。

 「ハイブリッド式は新しい抽出方法なのでまだ浸透していません。まずはHYBRID BREWとハイブリッド式を知ってもらうと同時に、タイガー魔法瓶がコーヒーメーカーをつくっていることを国内・海外で注目してもらい、他のコーヒーメーカーの普及にもつなげていきたいです」と間谷さん。

 試飲会などでハイブリッド式の味を直接体験できる機会をつくり、広く知ってもらうことが、今後さらに重要になるだろう。

(大澤裕司)

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