お金をかけず、効果を生むには? サイゼから学ぶ「必要最小限」のDX
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月25日 5時55分
サイゼリヤ、独自のDXに迫る
タブレットにセルフレジ、配膳ロボなど大手飲食チェーンではDXが当たり前になりつつある。そんな中、他社と異なる独自のDXを進めているのがサイゼリヤだ。
同チェーンでは、QRコードを用いたスマホ注文方式を採用しているが、画面上に料理の写真は表示していない。この他、配膳ロボの導入も他社より進んでおらず、DXは進めつつも徹底したコスト削減の姿勢が現れている。
●ファミレス“3種の神器”中心に、外食ではDXが進んだ
今や、多くのファミレスではDXが進み「タッチパネル注文」「配膳ロボ」「セルフレジ」と、“三種の神器”が標準となっている。特にすかいらーくホールディングス(HD)は2020年からタブレットを各席に配置し、タッチパネル注文の導入を進めた。紙のメニューも置いているが、タブレットには料理の写真を表示するため、メニュー代わりになる。紙のメニューを開かずに注文する人も多いだろう。
トレー4段構造の配膳ロボは2021年に導入を開始。席の近くまでロボットが料理を配膳し、客が取り出すシステムだ。客にとって若干の面倒さはあるが、猫をイメージしたロボットのかわいさが高評価を受けている。セルフレジは2022年度から本格導入を進めた。
大手牛丼チェーンでは松屋が先行しており、券売機で注文と支払いを済ませ、料理は客がカウンターまで取りに行く方式を拡大しつつある。当初は対面にこだわっていた吉野家もC&C(クッキング&コンフォート)で同様のシステムを導入し、すき家も都心のセルフサービス店で同じ方式を採る。
このように大手飲食チェーンはDXや「客を動かす」方式を導入し、注文と配膳と支払い、3つの動作で省人化を進めてきた。
●あくまで簡素な、サイゼの注文方式
一方でサイゼは異色ともいえる方法でDXを進めてきた。
注文に際しては、2020年に「手書きオーダー」制を導入。料理名を店員に伝える従来の手法から、客が注文用紙にメニュー番号を記入し、店員が読み上げて確認する手法へと切り替えた。店員は手持ちのデジタル端末に番号を入力し、注文を取る。
一見するとあまり効率化できていない印象だが、店員がテーブルに滞留する時間が短くなり、効果があったという。料理名を読み上げる時間を短縮できた他、注文しながら料理を選ぶ行為を省くことができたためだ。
その後、深刻化する人手不足を受けて、2023年からはQRコードを用いたスマホ注文方式へと切り替えを進めている。既に400店舗で導入し、2025年8月までに全店導入を目指す。
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