鳥貴族が新時代の「居酒屋王」に!? 苦戦するライバルと差がついた決定的な理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月25日 8時10分
コロナを経て同業他社は、店舗数をおおむね2~5割ほど減らしているのに対し、エターナルホスピタリティーグループは鳥貴族店舗だけみても5%減にとどめた。その上、フランチャイズ(FC)チェーンのやきとり大吉を傘下に入れ、グループ店舗数を一気に1139店舗に増やしている。売り上げに関しても、FCであるやきとり大吉の貢献はほとんどないのだが、コロナ前の17%増を達成している。
コロナを境にして、大幅に店舗数を減らした同業他社に対して、鳥貴族は店舗数をほとんど減らさず売り上げを増やした。さらには同業をM&Aして、店舗数を倍増させているのである。この違いが、コロナ後の居酒屋トップシェアにつながっているのだが、何が違ったのだろうか。
●アフターコロナを見越した鳥貴族の戦略
鳥貴族のコロナ発生直後の決算説明資料をみると、その方向性が明確に語られている。まず、コロナへの対応として感染予防を徹底することを明示。業績はコロナ期間中、大きな損失が出ることも予測した上で、金融機関からコロナ期間中に想定される必要資金を調達。予備的な資金調達枠を調達し、数年間の資金繰りを確保している。また、コロナ前までに不採算店舗の整理は終えていることから、大量の閉店はしないことを明記し、その方針は金融機関の了承を取り付けている。
そして、2020年時点で居酒屋の存在意義を説き、アフターコロナにも必ず必要とされるはず、という信念を明らかにしているのだ。つまり、コロナは一過性のものであり、必ず収束するので、その時に備えて店舗網を維持したまま数年を越してみせる、という意思表示であった。同業他社にはここまでの覚悟はなかったといっていいだろう。アフターコロナとなった今、鳥貴族はその予測通り、居酒屋業界における新たな王者のポジションを獲得したのである。
●居酒屋王にふさわしいブレない方針
鳥貴族は2020年の決算説明会の時点において、コロナ対策のみならず、「中長期的な構想と取組」を発表。(1)マーケティング、商品開発の強化、(2)不採算店舗を整理しつつ、新しい国内未出店地域への拡大、(3)新業態開発(後の「TORIKI BURGER」など)(4)海外進出、を明記してアフターコロナにおける展開についても成長戦略を示した。TORIKI BURGERのようにうまくいっていない事業もあるが、鳥貴族はおおむね、今もこの計画に沿って国内エリアを拡大しながら、海外への進出を本格化しつつある。
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