逆襲のアシックス 箱根駅伝で「シューズ着用者0人」からV字回復、その舞台裏
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月2日 10時19分
以前の取材で、Cプロジェクトのリーダーを務めるアシックスの竹村周平氏は当時をこう振り返っている。
「Cプロジェクトが動き出したときには競合がすごく強くなり、アスリートがどんどん離れている現状がありました。社長からは『とにかく勝てるシューズを作ってくれ』ということだったので、目指す大会から逆算するかたちで取り組みました」
新モデルを開発するには通常、数年の時間を要するが、急ピッチで進められた。そして、わずか1年ちょっとの超短期間で他メーカーも驚くような「斬新なモデル」が完成した。
●約1年で斬新なモデル開発 「離れ業」成功のカギは
なぜ、これだけの離れ業が可能だったのか。竹村氏は実情をこう明かしている。
「社長直轄というのがすごく大きいと思います。本来ならそれぞれのセクションで決裁が必要になってくるんですけど、社長がOKすればすぐに動き出せる。ものすごくスピードが速くなりました。それに社長は『お金は気にしなくていい』と。サンプルもソールの厚さ、プレートの形などを微妙に変えて複数用意して、契約アスリートからフィードバックをすぐにもらえるようにしたんです。それで短期間で結果を出すことができたかなと思います」
振り返ると、2022年6月中旬のイベントに登場した廣田康人代表取締役社長CEO兼COO(当時)の言葉は自信と刺激に満ちていた。
「アシックスのミッションはパフォーマンスランニングおよびレーシングカテゴリーでナンバーワンブランドになることです。2020年は反転攻勢、2021年は持続的成長を可能とするビジネスの基盤づくりをテーマに掲げ、特に商品の開発に注力してまいりました。2022年以降はこれまで築いてきた基盤の上でさらに躍進していきたいと考えております。そして2025年にはわれわれのミッションを実現したい」
そして2年半前に廣田代表取締役会長CEOが目標に掲げていたリミットがいよいよ迫ってきた。“反撃のアシックス”はいまかなり面白いところに位置している。
●進化を続けるMETASPEED
2022年6月にはランニングエコノミー(ランニング効率)が2%以上も増加した「METASPEED+」シリーズを発売。2024年1月の大阪国際女子マラソンでは「METASPEED」シリーズを着用した前田穂南選手(天満屋所属)が2時間18分59秒を叩き出して、19年ぶりの日本記録を打ち立てた。そして2024年3月には「METASPEED PARIS」シリーズを発売した。
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