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東横線・幻の駅「新太田町駅」と、かつて「3つ」存在した神奈川駅

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月28日 7時5分

 さて、高島山トンネル出口から200メートルほど先で、「東横フラワー緑道」は終点になっている。東白楽駅からここまで、ゆっくり歩いても1時間もかからない。しかし、かつてはこの短い区間に、東白楽駅―新太田町駅(廃駅)―反町駅―神奈川駅(廃駅)―横浜駅とたくさんの駅が存在したのだ。

●8年で消えた二代目横浜駅

 続いて、横浜―高島町―桜木町間の廃線跡を見に行こう。同区間は、ほぼ廃止時のまま高架橋が残されており、この高架橋を活用した遊歩道を整備する計画が立てられている。

 だが、これまでに市の財政状況の悪化などを理由に何度か工事が延期されてきた経緯があり、廃止から20年が経過した現在に至っても、桜木町駅前から紅葉坂交差点付近までのわずかな距離(約140メートル)が公開されるにとどまっている。

 では、残りの紅葉坂から横浜駅まで約2キロメートルの整備・公開予定はどうなっているのだろうか。整備を担当する横浜市都市整備局都市交通課に2023年4月に問い合わせると、「高架構造物の耐震性を点検したところ、コンクリートの剥落(はくらく)などが見られたため、補修や一部構造物の取り壊しが必要となった。特に旧・高島町駅付近では構造物に大きな傷みが見られたため活用を断念し、現在取り壊しを進めている箇所がある。こうした状況から、これまでの計画は一度リセットし、令和4~6年にかけて基本計画を練り直している。その後に整備を進めるため、公開時期は今のところ未定」との回答だった。

 当面の間、遊歩道が公開されることはなさそうだが、この区間の沿道には鉄道関係のさまざまな遺構があり、それらを巡る散歩は、なかなか楽しい。

 まず、高島町交差点の角に建つマンションの敷地内に、二代目横浜駅舎の基礎部分のレンガ遺構が公開されている。マンションの敷地と聞けば、立ち入って大丈夫なのかと思うかもしれないが、心配ない。横浜市の市街地環境設計制度により、「公開空地」とされているので自由に見学できる。

 二代目横浜駅の駅舎は、鉄骨2階建てレンガ造り、前年の1914年に開業した東京駅丸の内駅舎とよく似た瀟洒(しょうしゃ)なデザインだった。だが、完成からわずか8年後の1923年9月の関東大震災で焼失してしまう。この駅もまた、“幻の駅”である。

【編集部より:この記事は、森川天喜氏の著書『かながわ鉄道廃線紀行』(神奈川新聞社、2024年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。書籍『かながわ鉄道廃線紀行』では、筆者が続けて桜木町駅周辺まで歩き、駅周辺の鉄道関連の史跡・遺構や、かつて存在した広大な貨物駅・東横浜駅を紹介しています。】

●筆者プロフィール:森川 天喜(もりかわ あき)

旅行・鉄道作家、ジャーナリスト。

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など。

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