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3万円払っても欲しい? ATMでは使えないのに人気沸騰のメタルカード

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月14日 10時42分

 プラスチックカードと比べ、製造工程ははるかに複雑だ。「カードの製造には特殊加工が必要で、すべて手作業での封入となります」と司茂氏。タッチ決済への対応には、技術的な課題も伴う。金属は本来、電波を通しにくい性質がある。

 一般的には2枚の金属板の間にアンテナを組み込んだプラスチック層を挟み、通信を可能にする構造だ。JCBのメタルカードは断面の仕上がりが特に美しく、どのような構造で通信を実現しているのかは明らかにしていない。

 ただし、金属製カードには独特の制約がある。他社は「注意が必要」程度の案内にとどめているが、JCBは慎重な姿勢を見せる。ATMはもちろん、JR券売機やタイムズのパーキングメーター、カードを曲げて取り込む仕様の決済端末では利用できない。「カードが曲がらない特性上、機器の故障につながるリスクがあります」と司茂氏は説明する。

 この課題を解決するため、JCBは「ペアカード方式」という珍しい仕組みを採用した。通常のプラスチック製「ザ・クラス」に加えて、金属製カードを2枚目として持つ形だ。支払いシーンに応じて使い分けられるよう、番号も異なる。キャッシング機能も、ATMを使用する関係でメタルカードでは利用できない仕様とした。

 デザインには金属素材ならではの細やかな工夫を凝らした。カード表面には金属の質感を際立たせる繊細なヘアライン加工を施し、1990年の発行開始以来、JCBの象徴として親しまれてきたペガサスのロゴは、通常カードの約5倍という大きさで刻印。ロゴ内部にも特殊な彫り込みを入れ、傾けると光の反射具合が変化する仕掛けだ。「JCB」の文字やカード番号なども、光が中心に集まるような加工を施した。

 発行手数料3万3000円という価格設定について、「高額」との声がある一方で「妥当」との評価も聞かれる。年会費5万5000円の「ザ・クラス」に加えての追加費用となり、2024年2月に発表されたアメリカン・エキスプレスの新型メタルカード「ゴールド・プリファード」(年会費3万9600円)と比べても強気の価格設定だ。

 さらに5年後の更新時や紛失による再発行時にも同額の手数料がかかる。「所有する満足感や重厚感など、プレミアムな価値として設定させていただきました」と渡邉氏。カード券面には職人による特殊加工が施され、梱包資材にもこだわった。手作業での封入など、製造工程の複雑さも価格に反映されているという。

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