1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

学習塾や脱毛サロンの「いきなり倒産」、なぜ起きる? 消費者が「貸し手」になる共通点

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月24日 8時10分

 企業側からすれば、前払いのお金が集まればしばらく資金が潤沢な状態になり、事業拡大や広告宣伝にも積極投資しやすくなる。しかし、前払いのお金は本来サービスの提供に使われるべき“負債”であり、それを広告に使うのは目的外の利用である。

 とはいえ、利用者は銀行のような信用調査は行えず、資金の使途すら追うこともできない。それは利用者のスキル面の問題に加え、非上場企業の場合は財務諸表が公開されていないことがほとんどだからだ。つまり、悪質な企業にとって前払いをしてくれる利用者は、「信用調査なしでお金を貸してくれ、使途についてもとやかく言わない夢のような金融機関」となる。

 街で広告を見かける会社は何となく信頼できると思いがちだ。しかし、その莫大な広告費がどこから来ているのかを意識しておかなければ、「社名を知っている」「広告をよく見かける」「有名人がイメージキャラクターを務めている」といった表面的な情報に惑わされ、結果的に倒産リスクを過小評価してしまうことにつながるだろう。

●「いきなり倒産」にあわないために大切な思考法

 ただ、もちろん全ての前払い方式が悪いわけではない。実績ある大手企業の場合、広告費や人材育成に潤沢な資金を回すことで、より充実したサービスを提供できることがある。そのため、割引額が大きいことや広告に有名人が使われているという点だけを見るのではなく、その資金がどのように使われ、回収される見込みかを少しでも意識することが重要である。

 自分が知らず知らずのうちに「貸し手」になっている可能性があることを自覚できれば、企業の財務状況や倒産リスク、そして契約内容のチェックを、より慎重に行うことができるはずだ。誠実なクリニックや塾であれば、財務状況を説明する資料を提示してもらえるかもしれない。提示してもらえないのであれば、契約しなければよい話だ。

 こうした視点を持つことで、予期せぬ「いきなり倒産」のニュースをうけて後悔するリスクを大幅に減らせるだろう。

 いきなり倒産の事例だけでなく、あらゆる詐欺にだまされない思考法の一つとして、「自分が得られるリターンと、銀行の貸出金利を比較してみる」ことも有効だ。もし銀行借入の金利が年数%程度であり、企業がそれよりもはるかに高い割引率を提示している場合、なぜその企業は銀行から低金利でお金を借りないのかを考えてみるとよいだろう。また、割引が魅力的に映る前払いコースや、破格の利回りを示す契約に踏み切る前に、「自分はこの会社にお金を貸そうとしている」「そんなにリターンが良いならなぜ自分でやらないのか」といった視点を持ち、慎重に検討することが必要だ。その上で、もし契約する場合は、万が一倒産しても致命的な痛手にならない範囲にとどめるのも一つの選択肢だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください