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「北海道のボールパーク」人気の理由は? 418万人を引き寄せた“試合以外の300日”

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月28日 6時20分

 また、インバウンド需要も増加している。2024年には2万人強の来場があり、主に韓国と台湾からの集客が目立った。台湾では、陽岱鋼選手(台湾出身。2007~16年まで北海道日本ハム、2017~21年まで巨人でプレー)が在籍していた時代から試合中継されていたこともあり、チームの認知度は高いという。来シーズンに向けて新たに台湾出身の選手も加入しており、3月には台湾での試合開催も予定する。

●街づくりの核として進化するボールパーク

 周辺環境にも影響は広がっている。2024年2月に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが試算したデータによると、施設がある北広島市への経済直接効果は年間500億円超、北海道全体では波及効果を含め1000億円を超える規模に達するという。

 こうした経済効果を追い風に、新たな動きも出てきた。2027年3月にはシンガポールに拠点を置くホテルグループ「バンヤン・グループ」が、客室数177(予定)のホテルを北海道ボールパークFビレッジ内に開業。さらに、北海道医療大学がキャンパスと病院を2028年4月に新設する計画を発表した。

 3000人以上の学生を抱える同大学の進出は、施設のさらなる発展を後押しすると見込まれており、医療大学と病院が進出することで生活基盤の整備が進み、人口増も期待されている。

 エリア全体では約32ヘクタールという広大な敷地があることから、今後もさらなる開発の余地が残されている。

 2028年には、新駅が開業する予定だ。現在、最寄り駅からは徒歩20分ほどだが、新駅開業後は利便性が大きく向上する。新駅との間にある約4ヘクタールの敷地(大林組保有)でも開発が予定されており、周辺の価値はさらに向上するのではないかといった声もある。

 新駅開業のタイミングで「年間約700万人」の来場者数を目指すという目標も現実味を帯びてきている。

●滞在時間を増やすための環境づくりを進める

 北海道ボールパークFビレッジは順調に実績を積み上げているが、利用者の滞在時間をいかに長くするかが目下の課題だ。滞留時間を増やすことは、交通アクセスの改善とも深く関係している。例えば、ナイターの試合が延長になった場合、混雑緩和を避けるため退場を分散する取り組みが必要となる。

 2024年シーズンも試合後のコンサートや花火など、長く滞在してもらえる取り組みを実施した。2025年には内野を天然芝から人工芝へ変更することでイベントなどの利用拡大が見込まれるほか、エスカレーターの増設で回遊性を高める環境づくりも並行して進めていく。「スペースの有効活用が滞留時間を増やす施策のコアになる」と伊藤氏は語る。

 開業から2年、北海道ボールパークFビレッジは、野球の試合に加えて充実した設備やイベント企画などを通じて「常に何かを楽しめる場所」を提供してきた。その結果、プロ野球という季節性の高いコンテンツを軸としつつも、年間を通じて安定した集客を実現している。

 スポーツとエンターテインメント、街づくりを融合させた新たなモデルは、今後の日本のスポーツビジネスにどんな可能性をもたらすだろうか。

(カワブチカズキ)

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