カセットガス1本で「暖炉のある暮らし」 開発者の執念がヒット商品に
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月29日 8時10分
マンションでも「暖炉のある暮らし」が実現できる
Makuakeには、新たな発想で生まれた商品が次々と登場しています。その中から特に大きな支持を集めた商品には、独自の戦略や視点が隠されているはずです。本連載では、プロジェクトの成功事例を分析しながら、これからの商品開発のヒントを探っていきます。
今回は「開発者自身が最も欲しい」と思える商品を作り上げることで、新市場を切り開いた事例をご紹介します。
●諦めていた「暖炉のある暮らし」が現実に
広い家に、炎が揺らぐ暖炉。そんな生活に一度は憧れた人も多いでしょう。しかし実際には、工事費用や、薪を用意して火をつけることの煩雑さ、近隣への配慮など越えるべきハードルは多く、諦める人が大多数ではないでしょうか。ましてや、都会のマンション暮らしとなると夢のまた夢です。
そんな憧れを実現した商品があります。カセットガスなどを販売している岩谷産業(大阪市)が開発した炎を楽しむインテリア暖炉 「MYDANRO」。この商品は、カセットガスと電池のみで駆動する、導入ハードルの低い家電型の暖炉です。
一体どのような経緯を経てこの商品が誕生したのでしょうか。
●開発責任者自身が「顧客1号」 3年かけて実現
MYDANROは、プロジェクト開始からわずか1日で1000万円の応援購入を集める大ヒットとなりました。この予想を上回る反響は、暖炉への潜在的なニーズの大きさを実感させる結果となっています。
この商品が生まれた背景には、開発責任者であるマーケティング部長の本山氏自身が、最も理想的な顧客像であったことが挙げられます。
本山氏は幼少期から、キャンプでのたき火や、五右衛門風呂など、炎のある生活が身近な環境で育ちました。しかし、現代の都会生活では、そうした炎に触れる機会が失われています。「炎をもっと身近に感じてほしい」。そんな思いから、カセットガスを使った新たな商品開発のチャンスを得たとき、真っ先に構想したのが暖炉でした。
商品開発は苦難の連続だったといいます。通常、カセットガスの炎は「青色」です。この炎をオレンジ色に変える工夫や、本物の炎のようなゆらぎの表現、さらに、前例のない商品だけに安全性の担保など、課題は山積み。開発に3年もの歳月を要しましたが、本山氏が強い意志を持ち続けられたのは「自分が最も欲しいと思う商品なら、必ず共感する人がいるはずだ」という信念があったからだそうです。
●3万9800円という価格設定に込められた狙い
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