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西友の売却に見る「総合スーパー」の終焉 かつてダイエーと争った“王者”の行方は?

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月4日 8時0分

●昔の姿とは異なる、今の総合スーパー

 イオンは総合スーパーの形態の新店舗を今でも出店している。しかし、食品売り場を軸に非食品売り場を残しつつも、上層階の大半は専門店のテナントが集積する形となっている。これは専門店を集めた方が競争力を高められるからであり、それによる集客力に依存せざるを得ないことを示している。

 イオンは主に大都市周辺部で、従来型の大型総合スーパーを大型商業施設「そよら」に転換している。そこでは、食品と購買頻度の高い生活必需品以外は、専門店チェーンの代表的企業のテナントが埋め尽くしている。

 例えば、そよらの中で売り場面積が最大のそよら成田ニュータウン(千葉県成田市)の場合、2階はホームセンターのコーナンやイオングループのスポーツ用品店「スポーツオーソリティ」、3階はダイソーやABCマートなどが入っている。4階はスタバやサイゼリヤ、かっぱ寿司などの外食エリアと、TSUTAYA BOOK STOREといった構成だ。

 イオンのグループ企業もあるが基本は専門店の集積となっており、総合スーパー直営の売り場ではない。総合スーパーといっても、「食品+生活必需品のスーパー+専門店の集積」という構成であり、昔のようにあらゆるものを売っていた姿とは全く異なるのだ。

●進む“食品+日用品特化”

 西友に話を戻すと、その業績を回復させたのは、プライベートブランドの改良など、商品面でのブラッシュアップの影響もある。しかし、一番の大きな要因は、不採算店の閉鎖と非食品売り場のテナント化であったといっていいだろう。

 この数年間で、西友も多くの店でリニューアルを行い、“食品+生活必需品”以外の売り場についてはテナント化を進めていた。リニューアルオープンの際には「食料品と日用品のスーパーに生まれ変わります」という看板を出していた。

 例えば、2024年7月にリニューアルした西友平塚店(神奈川県平塚市)は、地下フロアを売り場面積5106平方メートルという大規模なホームセンターのカインズと100円ショップのセリアに転換した。2024年11月にはリヴィン田無店(東京都西東京市)もリニューアルしているが、カインズやドン・キホーテ、無印良品やブックオフなど、専門店が集積している。多くの店舗でテナント化を進めたことで、西友は“食品+日用品の店”として採算が確保できるようになったのである。

 この話を聞くと、多くの方が今話題のあのスーパーを思い出すだろう。そう、北海道や東北から撤退し、クレヨンしんちゃんに登場する「サトーココノカドー」のモデルを含む多数の店舗を閉店したイトーヨーカ堂である。

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