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「昔ながらの名車風」なぜ人気? 自動車メーカーが“過去の遺産”を利用する理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 8時32分

「昔ながらの名車風」なぜ人気? 自動車メーカーが“過去の遺産”を利用する理由

これが現代のクラシックカー? レトロと未来感が融合

 2024年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、ホンダのフリードが受賞した。扱いやすいサイズのライトミニバンで先代も人気だったが、現行モデルはステップワゴンとテイストを共にする、モダンでミニマルな印象のデザインが受けているようだ。

 ホンダだけでなく、このところクルマの人気要素においては、デザインの優先順位がますます高まっていると感じる人も多いのではないだろうか。

 クルマが普及し始めた1950年代から、すでにスタイリングは比較検討する上で重要な要素となっていた。しかし、クルマが高性能化・多機能化していく中で、燃費や居住性、快適性を左右する機能などで競合他社との差別化ができていた時代は、デザインは二の次でも良かった。

 トヨタのプリウスがヒットしたのは、優れた燃費性能とエコカー補助金という強力な後押しがあったからで、ハイブリッドが他車種にも広がると、スタイリングを武器にし始めた。現在では、デザインの訴求力の高さをトヨタが認識していることが分かるだろう。

●光岡自動車が繰り出すレトロなクルマが好調

 クルマにおけるデザインの魅力を前面に押し出したモデルは、これまでもさまざまなアプローチで登場している。最初にレトロテイストのクルマを作り上げてブームを起こしたのは、日産自動車だった。

 パイクカーと呼ばれる、いにしえの名車をモチーフとした温かみのあるデザインで仕上げられた日産のクルマたちがヒットしたのは、1980年代後半のことだ。

 同じ頃、エアロパーツメーカー老舗のDAMDがさまざまな名車をモチーフに、カスタムパーツを作り出していった。この流れは現在も続いており、東京オートサロンでも話題を集めている。

 光岡自動車は日産マーチをベースに、往年のジャガーMkII(マーク2)をモチーフにしたビュートを発売したことで、パイクカーのムーブメントを広げ、同社のカスタムカービジネスを軌道に乗せた。最近ではホンダ・シビックを往年のマッスルカーのように仕立て、これも人気を集めている。

 自動車メーカーでは、ダイハツが軽自動車のミラをローバーミニ風にしたミラジーノを作り出し、他の日本車メーカーも丸型ヘッドライトやラジエターグリルを採用したカスタムグレードを設定する動きが広がった。

 トヨタも初期の乗用車であるAA型をモチーフにしたトヨタ・クラシックや、初代クラウンのデザインテイストを盛り込んだオリジンなどのパイクカーを販売したが、これらは台数が少なく価格も高かったので、ちょっと別枠扱いだろう。

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