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スタバVS.コメダ 日米コーヒーチェーン徹底比較で見えてきた立ち位置

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月3日 8時0分

 面白いのは、同書では「なぜ、コメダには『舌をかみそうなメニューがない』のか?」と題して、同社のメニューがシンプルであることに触れつつ「子どもからお年寄りまで、世代を問わず来店される店にするためには、利用客の抵抗感を和らげる工夫も必要だ。それが、メニューのネーミングにも表れている」と述べる。あらゆる来店ハードルを下げることで、スタバと好対照を成していることがお分かりいただけるだろう。

 さらにこうした「かっこつけないところ」は、店舗に長居できることにも表れている。コメダ珈琲店では一部店舗を除き、基本的には利用時間の制限がない。肩肘張らないで、長くいることができるのだ。電源付きのテーブルも多く、テーブルもゆったりしている。さらに各テーブルの横には少し高めの間仕切りがあって、そこまで周りの目を気にすることなくおしゃべりや作業ができる。地元民の憩いの場所になっているコメダも多い。

 そういえばかつて、ある記者の人と話していたとき「その地域の飾り気のない姿を見たければ、そこのコメダに行け」と言われた。コメダでダベる近所の人たちの会話が、もっともその地域の姿を表すというのだ。

 ちなみにコメダ珈琲店ではその分、営業時間を他のカフェチェーンよりも長く取り、モーニング、ランチ、ディナーで違うお客を入れて利益を上げている。また、長居する客の多くがコーヒーや食事のお替わりをすることもあって、客単価の向上に成功。長居できる裏側にはこうしたビジネス上のカラクリがあるのだ。

 いずれにしても、スタバが直営店をメインに「かっこよさ」を重視したブランディングを意識し続けているのに対し、コメダはむしろ「かっこつけない」空間作りを意識している。それぞれのチェーンの特徴はかなり際立っており、その点で両者とも「選ばれる」チェーンになっているのではないだろうか。

●人口減少時代に求められるチェーンの「個性」

 ここまで見てきたように、スタバとコメダはあらゆる点で対照的だ。そのため、しばらくの間は、この2つは完全な競合にはならないと思う。それは出店立地と顧客層にも表れている。

 スタバは若い女性を中心とする顧客層が多く、出店で見ると東京に全店舗の約20%が集中している。その他は大阪、愛知、神奈川と大都市を有する街への出店が多い。一方、コメダ珈琲は地方や郊外を中心とする出店が多い。2020年のデータではあるが、顧客の平均年齢は46歳と日本の平均年齢と同等、つまりは高齢者が多めである。その意味でも、この2つはうまいこと直接対決を避ける構造になっている。

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