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闇バイト撲滅のために利益を捨てた? 「爆サイ」が下したびっくりの決断

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月12日 9時15分

 当然、爆サイとしては「再発防止策」を講じなくてはいけない。しかし、運用チーム内で何度も議論を重ねたが、なかなか話がまとまらなかったという。

 「営業担当としては、運用部に対して闇バイトをすぐに見つけて削除する体制を構築せよと求めますが、手口が非常に巧妙でイタチごっこなのでどれか闇バイトかを見極めるのは現実的には難しい。運用部としては、営業が仕事をとる前に闇バイトかチェックすべきだと主張しますが、1カ月に数千件単位で有料求人掲載があるのでこれも難しい。どこまでいっても平行線でした」(爆サイ.com運用企業)

 このような「部署間の対立」は、ビジネスパーソンならば一度や二度は経験があるはずだ。各自がそれぞれ自分の持ち場で、自分の仕事をしっかりしようとすると必ず利害が衝突するものだ。

 しかも、先ほども申し上げたように、ネットやSNSという誰でも手軽に利用できるオープンな世界で、悪質な少数ユーザーだけをピンポイントで排除するのはかなり至難の技だ。ハッカーなどと同じく、裏社会の人間はシステムの穴を突いて、新たなスキーム、新たな誘い文句で募集をかけるので、どうしても後手にまわってしまうのだ。

●運営元代表者による驚きの決断

 再発防止策がなかなか固まらない中で、議論は運用元代表者のこんな鶴の一言で突然終わりを迎える。

 「もういいじゃん、それよりもユーザーがだまされて、人生が狂ってしまうことのほうが嫌なので、一般求人掲示板、廃止しましょう」

 これを聞いて、正直かなり驚いた。筆者は報道対策アドバイザーとして、さまざまな企業の危機管理を手伝ってきた経験がある。中には今回の闇バイト問題のように、事業者側のサービスや商品が違法グループに悪用されてしまうケースにも立ち会ったことがある。

 そういうとき、事業者側に「もうちょっと身を切る対策を打ち出さないと、世間に本気度が伝わりませんよ」などと進言して思いっきり嫌な顔をされることが多いのだが、今回の爆サイの対応は「いやいや、ちょっと身を切りすぎじゃないですか?」とこちらが心配してしまうほどだ。

 先ほど触れたように、爆サイの一般掲示板では、1日数千件の有料求人が掲載されている。得られる利益はかなりのものだ。普通の企業ならば、まずはこのビジネスモデルをしっかりと守ったうえで、「闇バイト」をどう排除していくかという発想になる。「対策が甘い」「本当にやる気があるのか!」と社会から叩かれても、「ビジネスの防御」を優先する。

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