1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

闇バイト撲滅のために利益を捨てた? 「爆サイ」が下したびっくりの決断

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月12日 9時15分

 この対応で分かりやすいのは、メタ(旧フェイスブック)だ。同社は有名人を使った偽広告が問題となり、被害者も出ている。有名人らが厳しい取り締まりや対策を求めたが、メタの対応は不十分と見なされ批判を浴び、実業家の前澤友作氏に提訴されてしまった。

●メタが行った真逆の対応

 なぜこんなことになってしまったのかというと、メタが「ビジネスの防御」を優先しているからだ。まず、自分たちの広告ビジネスモデルをしっかりと守ったうえで、「偽広告」をどう排除していくか考えている。「ほんのひと握りの悪徳業者」のため、全体のレギュレーションをイジるなんてことは、理にかなっていないという発想なのだ。

 しかし、今回の爆サイの判断はそれとは真逆だ。「ほんの一握りの悪徳業者」を排除するために全体のレギュレーションに手を付けるどころか、掲示板そのものを廃止し、これまで得られていた利益も捨てたのである。こういう決断をする組織は珍しい。

 危機管理のセオリー的にも「いくら問題解決のためとはいえ、自分たちが大きなダメージを受けるような対応はするべきではない」とされている。つまり、「返り血を浴びるような改革は避けるべし」という暗黙の了解があるからだ。

 でも、筆者はそうは思わない。確かにこのやり方は短期的に損失を生む。しかし、長期的な視点に立つと、大きな利益をもたらす。まず、この対応によって「爆サイの求人募集で集められた若者が高齢者宅で強盗した」というリスクはほぼゼロになる。加えて、「爆サイ.comはユーザーの安全を優先する」というメッセージを世に投げかけることができた。これはサービス企業のブランディング的にはかなり大きい。

 このような話を聞くと、「いやいや、でも爆サイが求人をやめたところで、他の求人サイトに行くだけだから、闇バイト対策としてはあんま意味ないじゃん」という意見の人もいるかもしれないが、もちろん、そのあたりは爆サイも考えている。

●爆サイ「一般求人掲示板」廃止後の対応

 一般求人掲示板の廃止が決まった後も、運用チームは「闇バイト撲滅にどう貢献できるか」と議論を重ね、国内15エリアのTOPページにはこれまで通りに「一般求人掲示板」という表示を残すことにした。

 なぜかというと、そこから「闇バイト撲滅特設サイト」へ誘導するためだ。

 まず、「一般求人掲示板」の表示をクリックすると、これまでのような掲示板スレッド画面が開く。ただ、そこには闇バイト対策用のサイトだというバナーがあり、掲載されているのは全てダミーで、その中には闇バイトを思わせるような怪しい募集もある。これらのどこをクリックしても、「闇バイト撲滅特設サイト」へ飛ぶようになっている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください