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さくらインターネットの取り組みから探る 日本企業は「デジタル赤字」にどう対応すべきか

ITmedia エンタープライズ / 2024年9月3日 7時0分

 さらに、同社は政府共通のクラウドサービスの利用環境である「ガバメントクラウド」に国内企業として初めて選定されたとともに、経済産業省による「クラウドプログラム」の認定を得て最大575億円の助成を受けることになった。これらの動きは、国がデジタル赤字を意識して同社を採択したとも見て取れる(図5)。

 ただ、田中氏の話では、日本企業が海外で成功するデジタルサービスを生み出すためにはどうすればよいかということへの言及がなかったので、会見の質疑応答で聞いてみた。すると、同氏は次のように答えた。

 「事業として最初からどんどん海外へ出ていくことを考えておくべきだ。ただ、海外での事業展開には相応のコストがかかることを覚悟しておくことが必要だ。世界のデジタルサービス市場で成功した企業は、巨額の先行投資をしながらまずは売り上げ拡大に注力し、確固たる商圏を作り上げて事業モデルを構築していった。売り上げ拡大に向けてしっかりとプロモーションすることが重要だ」

 同社自身は国内向けの事業が中心だが、SaaSについては外資系クラウドベンダーのIaaSを利用してデジタル赤字を増やすことになっても、日本企業は世界に通じるデジタルサービスを生み出すチャレンジをすべきだとの思いが、上記のコメントの背景にあると感じた。

 最後に、田中氏のこれまでの話で筆者が最も印象に残った発言を改めて挙げると、「デジタル赤字の現象は日本企業においてデジタル化が進み始めたという証しとも見て取れる。そこから、どう日本ならではのデジタルサービスを生み出していくか」だ。デジタル赤字も捉え方によってはポジティブな側面もある。そんなデジタル赤字の動向を気にするよりも、これからのデジタル社会に果たしてどんなサービスが求められるようになるかを必死に考えよう。チャンスはどの企業にもある。

○著者紹介:ジャーナリスト 松岡 功

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。

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