NTTデータが取り組む「生成AIの活用とガバナンスの“両輪”」 ユーザー企業視点で考察
ITmedia エンタープライズ / 2024年11月12日 7時0分
ここからは、国内事業会社における社内および顧客でのビジネス変革の取り組みについて紹介する。
本橋氏はまず社内の取り組みとして、ソフトウェア開発の生産性向上を挙げた。同社では2000年代から開発プロセスの標準化、2010年代にフレームワークやアプリケーションのコーディングの自動生成、2020年代には開発と運用を並行して進めるアジャイル開発に取り組み、現在は「AI・データドリブン開発」に注力している(図4)。
同氏によると、「ソフトウェア開発において生成AIを活用した事例は250件以上」とのことだ。なお、図4の下部に記された生成AI人材については、この後取り上げる。
また、本橋氏は「ソフトウェア開発は要件定義や設計、コーディングやテスト、運用や保守、それら全体のプロジェクト管理で構成されているが、当社ではこれらのライフサイクル全体に生成AIを活用することによって、2025年度には50%、2027年度には70%の生産性向上を目標としている。他社ではコーディングへの適用だけで生産性向上を強調しているところもあるが、それでは不十分だ」とも説明した(図5)。
この取り組みで注目したいのは、生成AIの活用において最大の効果を狙うということだ。上記はソフトウェア開発の例だが、最大の効果を狙う上でキーとなるプロジェクト管理はどの仕事にも当てはまる。その視点で最大の効果を狙いたいところだ。
●生成AIのハイブリッド利用ニーズに対応
「人材育成については、全世界の社員約20万人を対象として生成AIの人材育成フレームワークを整備している」
本橋氏は人材育成について、図6を示しながらこう話した。
図6の左がフレームワークで、一番下は全従業員を「リテラシー保持者」にすることを記しており、その上の3つの層は「生成AI活用実践人材」として、2024年度末で1万5000人の見込みを2026年度末には3万人に倍増させる計画だ。
この取り組みで注目したいのは、全従業員をリテラシー保持者にしようと動いていることだ。なぜ、全従業員を対象にする必要があるのか。生成AIの活用は企業にとってDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要な取り組みであり、つまりビジネス変革が目的だからだ。これからのビジネス変革は、全従業員がDX人材にならなければ実現するのは難しい。
次に、顧客のビジネス変革への取り組みについて紹介する。
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