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NTTデータが取り組む「生成AIの活用とガバナンスの“両輪”」 ユーザー企業視点で考察

ITmedia エンタープライズ / 2024年11月12日 7時0分

 本橋氏は、次の3つの取り組みを挙げた(図7)。

1. Co-Creation with Client: 先進企業との共創だ。同氏によると、既にグローバルで500件を超える実用化の事例があるという

2. GenAI Ecosystem: 生成AIはすでにさまざまなベンダーから多様な種類の生成AIが提供されているので、それらをNTTデータのプラットフォームからも提供できるように連携を進め、当社のコンサルティングなどを通じて顧客にとって最適なソリューション提供するといった生成AIにおけるパートナーエコシステムの構築だ

3. Client’s Own LLM: セキュアでデータも外部に出さない専用環境において、業務特化型の生成AIを提供するというものだ。「安心、安全」というのがキーワードだ

 これら3つの取り組みをつなげると、「顧客との共創をベースにパートナーエコシステムを活用して最適なソリューションを提供するとともに、個別ニーズにもきめ細かく対応する」といったところだろうか。

 本橋氏は上記3つの取り組みを挙げた上で、同社の生成AI活用戦略を語った。それによると、パブリックとプライベートの使い方があるクラウドと同様に、LLM(大規模言語モデル)による「オープンな生成AI」とSLM(小規模言語モデル)による「クローズドな生成AI」をフレキシブルにハイブリッド利用したいというニーズに応える構えだという(図8)。

 最後に今回の話に関連して、企業の生成AI活用について筆者も考察を兼ねて問題提起したい。

 筆者が訴えたいのは「AIマネジメントの必要性」だ。現在は多くの企業において、生成AIをどう活用するかという点に目が行っているが、さまざまな生成AIが社内に混在するようになり、やがてデータの管理や活用も含めて収拾がつかなくなる可能性が高いのではないか。

 生成AIを活用するためにデータなどをどう適切に管理するかという意味でマネジメントが重要だ。なお、ここでは「マネジメント」という言葉を使っているが、本来マネジメントには「ガバナンス(G)」「リスク(R)」「コンプライアンス(C)」の要素(「GRC」と呼ばれる)が含まれる。

 GRCを含めると非常に大きなテーマになるので、筆者の問題提起としては「社内に混在する生成AIをうまく活用するためにどうマネジメントしていけばよいか」ということで、AIマネジメントの必要性を問いたい。この解決策については、今回のNTTデータの顧客への取り組みの中にもヒントがあるように感じた。同社をはじめ、複数の生成AIを取り扱うITサービスベンダーにぜひ取材してみたい。

○著者紹介:ジャーナリスト 松岡 功

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。

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