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アクセンチュアが提言する「生成AIを活用した組織変革」とは? その先の“将来像”も考察

ITmedia エンタープライズ / 2024年11月26日 7時0分

 図4の左端にある各種の入力データを基に、ブルーで示されているのが現状の業務と人員数だ。そこから議論によって導きだされたのが、グリーンで示されている、生成AI適用後の業務とその必要人員数だ。

 既存の全ての部署で人員が減少しており、減少した人員は新たに設けられた部署への異動やリスキルの対象となっている。ちなみにリスキルが必要な従業員は全体の39%と、衝撃的な割合だ。

 保科氏によると、図4は議論によって導き出された結果だが、新たなスキルを身に付けた従業員を生かすために再び組織を変革するなど、取り組みを継続することが重要だという。

●筆者の考察:AIを活用して「イノベーションを起こせる組織設計」は可能か?

 最後に、この話を聞いて筆者の頭に思い浮かんだことをお伝えしよう。この取り組みからさらに踏み込んで、AIを活用して「イノベーションを起こせる組織設計」が実現できないものだろうか。

 図4で示されたように、新設部署や従業員のリスキルがイノベーションにつながる可能性もある。しかし、筆者が提案したいのは、イノベーションを起こすことを強く意識した組織設計や人材の活用だ。

 例えば、それぞれの目的を明確にしたプロジェクト型組織にし、業務におけるAIの活用はもとより、人材が最大限の力を発揮できるチーム作りやキャリア・適性診断、相性診断などによる人材マッチングにAIを活用できないだろうか。

 AIそのものが主体となってイノベーションを起こすことは、将来はともかく、現在は難しいだろう。イノベーションには「化学反応」が不可欠だ。それを期待できるのは、人が持つクリエイティビティのぶつかり合いだ。そうしたチーム作りに人事データとAIをもっと活用できるのではないか。

 アクセンチュアにも今回の話の延長線で、AIを活用したイノベーションを起こせる組織設計にぜひ取り組んでいただきたい。そして、従業員のリスキルについては、多くの人材が自らのクリエイティビティを磨く方向に動いてもらいたい。

 アクセンチュアの生成AIを活用した組織設計の話が興味深かったので、上記のようなことを考えた次第だ。引き続き、この分野でのAI活用に注目していきたい。

○著者紹介:ジャーナリスト 松岡 功

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。

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