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HPEが掲げる「脱モノ売り」の事業方針 SIer各社のビジネスモデル転換の背景に迫る

ITmedia エンタープライズ / 2024年12月23日 17時26分

 リカーリングとはまだ耳慣れないが、幅広いサービスに適用されている「サブスクリプション」(サブスク、定額課金)や、クラウドサービスなどで利用量に基づいて課金される「コンサンプション」(従量課金)を包含した言葉だ。定額だろうが従量だろうが「継続」の課金に変わりはないので、本稿ではリカーリングと表現する。

 ビジネスモデルということでは、物品などの販売を通じて単発の収益を得る「フロー型ビジネス」と、サービスを継続的に提供してそれに伴って収益も継続的に得る「ストック型ビジネス」がある。リカーリングは後者のストック型ビジネスの典型的なモデルであり、これによって安定的な収入を見込める。

 HPEにおいてGreenLakeによるリカーリングは、事業全体のどれほどの割合を占めているのか。言い換えれば、ビジネスモデルの転換はどのくらい進んでいるのか。会見の質疑応答で聞いたところ、望月氏は日本法人の状況として次のように答えた。

 「受注の動きからすると、GreenLakeの割合は全体の2割程度というのが現状だ。このところハードウェアの受注も好調なので構成比として大きな動きはないが、今後一層GreenLakeに注力するので、全体の中での割合も着実に増えていくと考えている」

 サービスビジネスは他のITベンダーも注力しており、HPEと競合関係にあるDell Technologies(以下、Dell)は「Dell APEX」、日本でも富士通が「Fujitsu Uvance」、NECが「NEC BluStellar」といった新たなブランドを掲げている。こうした動きの背景には、リカーリング率を向上させてストック型ビジネスを増強しようという狙いがある。

 例えば、富士通はFujitsu Uvanceによって事業全体におけるリカーリング率を2023年度(2024年3月期)実績の21%から、2024年度(2025年3月期)に35%、2025年度(2026年3月期)には45%に高めると明言している。

 IT業界全体で見ると、クラウドサービスベンダーのビジネスモデルはもともとリカーリングであり、ハードウェア商材の売り上げ比率が割合が高いHPEやDellも上記のような動きを示し、さらにこれまでSIer(システムインテグレーター)と呼ばれてきたITサービスベンダーもサービスビジネスの強化によってリカーリング率の向上に努めている。

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