「Software Defined X」とは? JEITA会長会見から読み解く新時代のキーワード
ITmedia エンタープライズ / 2025年1月6日 15時52分
つまり、世界だけでなく日本でも新車生産台数に占めるSDV比率が10年後に6割を超える見通しだ。日本政府もSDVをはじめとする自動車分野のDXにおける国際競争を勝ち抜くため、2024年5月に「モビリティDX戦略」を策定した。EV(電気自動車)化などと合わせて自動車は今後10年で大きく変わりそうだ。自動車業界で言われる「100年に一度の大変革」が、これから10年でドラスチックに起きそうだ。
一方、調査レポートでは、SDVの普及に向けた課題としてセキュリティ対策とソフトウェア開発効率を取り上げている(図3)。
図3の内容はSDVを対象としているが、その多くは自動車以外の分野にも当てはまりそうだ。
(注1)JEITA、電子情報産業の世界生産見通しを発表(JEITA)
(注2)SDV の進展に伴う車載半導体・電子部品市場の需要額見通しを発表
●Software Defined X時代を生き抜くために必要なこととは
「ソフトウェアの重要性が高まるのは自動車分野に限らない。これからはさまざまな分野においてデジタル技術を使うエッジサイドのソフトウェア開発力が勝負の行方を左右するようになる」
SDVに関する調査レポートの概要を説明した津賀氏は、こう述べた上で、冒頭で紹介したように「Software Defined Xの時代がこれから到来する」と発言した。同氏は「背景にあるのは、日本の潜在成長率や労働生産性の低さの改善に向けた社会的要請だ」としながら、SDVと違う例について次のように話した(図4)。
「例えば、日本の強みであるものづくりにおいても、デジタル技術による生産性向上を目的とした“Software Defined Manufacturing”が既に始まっている。熟練した強い現場力があるがゆえに、なかなかデジタル化が進まないと言われた日本のものづくりも変わり始めている。AIなどのデジタル実装を進めるにあたり、単にソフトウェアを導入すればよいというものではなく、現場との共創により、一緒になって現場を変えることが最も重要だ」
このコメントは、先の発言にあった「エッジサイドのソフトウェア開発力」について説明したものでもある。
津賀氏はさらに会見の質疑応答で、SDVに関連して次のような見解を示した。
「個人的な経験から言うと、約30年前、AV(オーディオビデオ)機器はアナログで構成されており、極めてハードウェアオリエンテッドだった。記録、再生するメディアも磁気メディアに代表されるようにハードウェアだったが、その後どんどんコンピュータ化していった。一方、そうした変化をコンピュータ側から見ると、I/O(入出力)がどのぐらい複雑なのか、またリアルタイム制御がどのくらい必要なのかなどによってコンピュータ化のスピードが変わってくる。AV機器の分野はその意味でコンピュータ化が早く進み、I/Oにもネットワークがいち早く活用されるようになった。そうした技術の波がいよいよ自動車分野にもやってきたと受け止めている」
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