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ドコモら、空飛ぶ基地局「HAPS」で直径100キロをエリア化 26年商用化を目指すも、実現には課題も

ITmedia Mobile / 2024年6月4日 0時2分

●HAPSには技術的・制度的課題も残る

 HAPSは6Gにおける上空からの通信サービスの典型例といえるが、実用化に当たっては技術面と制度面からの課題が残っている。

 技術面では、緯度が高い地域では終日の飛行が難しいという課題がある。ドコモが導入するAALTOの機体の場合は、「日本の南半分では通年飛行できる」とする。つまり、おおむね北緯35度未満であれば、1年中HAPSを運行し続けることができるが、それより北の地域では夏期のみ通年の飛行が可能という状態だ。

 なぜそうなるのか。HAPSは太陽光発電を動力源として、機体の揚力を得る仕組みとなっている。グライダーのように旋回飛行するため、徐々に高度が落ちるが、太陽光発電で得たエネルギーを使って高度を上げるため、終日飛行できるという仕組みだ。

 1日における滞空時間の他に、内蔵のリチウムイオン電池の劣化という別の制約もある。バッテリー交換のために、数カ月に一度降下する必要がある。AALTOの機体の場合は、63日間の滞空を実現している。こうした技術的な制約から、日本では南日本から徐々に展開を広げていき、2030年頃に北海道を含む全国への拡大を目指す。

 もう1つは制度上の制約だ。無人飛行機を飛ばすためには航空法に基づく型式認証・機体認証を得る必要があり、そこから基地局の電波を発射するためには電波法に基づく認証と周波数免許の獲得が必要となる。

 機体の認証を得る上で、AALTOがエアバス子会社として長年研究開発を続けてきた点に優位性があるという。AALTOは英国や欧州、米国の航空当局への認証に向けて調整を続けており、日本ではSpace Compassを通して国土交通省と調整を続けている。

 HAPSの無線通信システムについては国際標準の策定が完了しており、日本での周波数割り当てを待つ状況となっている。技術面の課題が解消したとしても、制度面ではこれらの認可認証がスムーズに進む必要がある。提供開始時期は2026年より先になる可能性も十分に見込まれるだろう。

●ドコモは法人向けから展開、グローバル販売も視野

 NTTドコモはHAPSを活用した通信システムについて、まずは法人向けサービスから導入する。その後、コンシューマー向けサービスへの展開を進める。

 将来的には、HAPSサービスのグローバル展開も目指す。ドコモは携帯キャリア向けのO-RANサービスを「OREX」というブランドで新興国の携帯キャリア向けに外販しているが、HAPSでも同様の通信システムとして運用ノウハウを含めた外販を行う方針だ。

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