KDDIの5Gが“真の実力”を発揮、通信品質の評価を覆せるか 「5G SA」の本格展開も見据える
ITmedia Mobile / 2024年6月15日 6時5分
発表会当日には、会場となったザ・プリンス パークタワー東京をカバーするSub6のエリアを実際に広げるデモも披露された。同ホテルには、複数の基地局から電波が届いているが、その内の1局が出力増強前の状態だった。そのため、屋外で5Gをつかんでいても、速度は100Mbpsを下回ることが多かった。以下は、筆者の端末(iPhone 15 Pro)で行ったスピードテストの結果。100Mbpsを超えるときもあったが、おおむね2桁の速度にとどまっていた。
ネットワークセンター側から遠隔で出力を上げ、完了後に速度を図ったところ、300Mbpsから400Mbpsまで高速化。出力を上げるだけで、品質はここまで改善される。エリアが広がったことで、上りの速度も10Mbpsを超えるようになった。ちなみに、前後の電界強度をGalaxy Z Fold5に入れたアプリで測定してみたところ、-106dBmから-87dBmまで電波が強くなっていることが分かった。このような品質改善が、全国各地で行われたというわけだ。その効果は、もともとSub6のエリアが限定されていた関東圏が、特に大きくなる。
●5G SAも2025年度からついに本格化、コンシューマー向けサービスも登場か
4Gの上に4Gから転用した5Gを乗せ、その上にSub6の厚みを足したことで、「5Gの本丸が、いよいよ拡大している」状況だ。サービス開始から4年が過ぎ、ついにその本領を発揮しようとしているといえる。ただし、「2030年に向け、まだまだ基地局は増やしていく必要がある」(同)。前田氏によると、最終目標は4Gと並ぶ20万局。KDDIがその先に見据えているのは、5G単独で通信が可能になる「5G SA」の拡大だ。
同社では、2022年2月に法人向けの5G SAを開始。翌2023年4月には、コンシューマー向けの5G SAもサービスインにこぎつけている。ただし、現状ではまだまだエリアが狭く、エリアマップも提供されていない。利用可能な場所は、大まかな範囲の住所でしか公開されていない。
5G SAでは、ネットワークスライシングの導入などにより、サービスを多様化することが可能だ。前田氏も「5G SAは、サービスによってレールを引き分けられるスライシング技術に対応している。これが立ち上がってくると、いよいよ産業のニーズに応えられる」と語る。また、コンシューマー向けにも、「ゲームのストリーミングなどに使える」(同)品質を担保しやすくなる。
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