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古いiPhoneで撮影した写真が“エモい”と評価されるワケ 「iPhone 3GS」で試してみた

ITmedia Mobile / 2024年7月14日 10時5分

 このブームを香港在住の友人に訪ねたところ「加工のないエモさ」がウケていると表現された。筆者はこの「加工のない」と表現された辺り、AI補正が当たり前のスマホに対するアンチテーゼ的なものを感じた。日本以上に自撮りブームが盛んで、スマホでは「AIでとにかく盛れるカメラ」が一世を風靡した中華圏でこのような評価になるのには驚いた。

 このような背景もあり、レトロデジタルカメラは人気機種を中心に価格が高騰している。深センで見かけたときの相場は日本メーカーの15年落ちの製品で550元(約1万1500円)前後と思ったより高価だった。このほかに「スマートメディア」といった旧規格の保存メディアも数が少ないことから高騰しているという。

 日本でもフリマアプリや中古販売店をチェックすると、多くの製品がそこそこ高価な価格で販売されている。大手中古店のハードオフのスタッフが「状態のいいデジカメは入荷するとすぐに売れる」と漏らすのも納得の盛況具合だ。

●古い機種なら「エモく」撮れるのか。iPhone 3GSで試す

 さて、仮にもスマートフォンで「エモい」写真を撮れるといったらどのような機種だろうか。ここでいうノスタルジーといった懐かしさを感じるには古いスマートフォンが選択肢に浮かぶ。

 物理的な古さを感じるなら、それこそiPhone 3GS世代だろうか。今のスマホには当たり前に備わる機能がない機種であれば、現代では撮影が難しい「性能不足による表現」ができる。トイカメラ的なエモさを出せるはずだ。

 iPhone 3GSは2009年に発売された。300万画素のカメラに初のオートフォーカスを備えるなど、同社のスマートフォンとしてはカメラ周りは大きな進化を遂げた機種として注目された。筆者も小学生の頃に触れた最初のiPhoneなので、思い入れのある機種だ。

 余談ながら、2024年に中学生へ進学した子にこのスマホを見せたら「まだ生まれてない」「SNSで見た平成レトロっぽい」と言われたときは思わず変な声が出てしまった。

 何枚か撮ってみる。昼間の作例はそれなりに映るが、全体的に暗い印象を受ける。あの時はこんな感じだったとノスタルジーに浸れるが、今となってはきれいにはみえない。

 夜間はさすがに厳しい印象だ。HDR撮影もできない世代のため、ノイズも多く手振れもしやすい。

 何枚か撮影したが、やはり時代相応の写りだと感じた。懐かしいという感覚にはなるが、筆者的にはエモーショナルな要素はあまり感じない。ただ、このような技術的な未熟さゆえの写りの悪さをノスタルジックと評するのであれば、トイカメラなどと同じ領域と考えたい。懐かしさを「エモい」と評価するのであれば、スマホでも十分に撮影はできそうだ。

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