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実は始まっていた「povo3.0」への布石 povo2.0は他社対抗も含め“完成形”に

ITmedia Mobile / 2024年9月7日 6時5分

 同じオンライン専用ブランドでも、ソフトバンクのLINEMOは約4割としていたため、eSIM比率ではpovoが一歩リードしていることが分かる。これは恐らく、バックアップ回線として取りあえず端末に入れておく用途も多いためだろう。実際、KDLは2023年末のコミックマーケットで前週比約2.4倍の契約を獲得するなど、イベントに合わせて成長してきた実績もある。ここでの主体はあくまでpovoだが、こうした事例は、サービスに通信が溶け込むコンセプトの原型を示しているといえそうだ。

 「デジタルネイティブ向けということで、全てオンラインで完結させる」(同)という下地があったからこそ、ホワイトレーベル化が可能になるというわけだ。機種変更が簡単にできるよう、iOS、iPadOSの「eSIMクイック転送」に対応するなど、eSIM化を推進するための利用環境づくりにも取り組んできた。

●データ通信専用や外国人向けプリペイドでpovo3.0への布石を打つ

 一方で、ホワイトレーベル化するとなると、より簡易に契約できる必要がある。日本では、音声通話が可能な回線の契約にはより厳格な本人確認が義務付けられており、マイナンバーカードや運転免許証などの提出が必須だ。犯罪での利用やなりすましを防ぐためだが、トレードオフとして、契約のハードルが高くなってしまう側面があることは否めない。

 MWCで秋山氏を取材した際にも、その課題は認識していることがうかがえた。その対策としてpovo2.0に導入されたのが、データ通信専用SIMだ。3月に開始された「povo 2.0 データ専用」は、文字通り、音声通話機能を省いたサービス。トッピングなどの仕様は共通しており、基本的には電話やSMSが利用できない以外の違いはない。

 MVNOのように、基本料がかからないぶん料金が安いといったメリットもなく、データ専用の存在意義に疑問を覚えた向きもあるはずだ。確かに、音声通話やSMSがないぶん、サービスは限定的になる。その反面、データ専用であれば本人確認を自己申告だけで済ませられる。マイナンバーカードや運転免許証を使ったeKYCも必要なく、利用を始めるまでの時間を大幅に短縮できるのが、そのメリットだ。

 実際、筆者も音声通話ができないiPad Pro用の予備回線としてpovo2.0 データ専用を契約してみたが、記録のためにスクリーンショットを取りながらでも、わずか数分で作業が完了した。一見、タブレットやPCに特化したサービスのように見えるが、このサービスの導入も実はpovo3.0への布石だったというわけだ。それでも契約を伴うため、Wi-Fiのように簡単に接続するというわけにはいかないものの、ホワイトレーベル化に向けて大きく前進したことは間違いない。

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