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ネット社会は「身元不明死」に対応できるか

ITmedia NEWS / 2024年4月16日 17時28分

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 2025年問題というのをご存じだろうか。物流の「2024年問題」が来たばかりで、もはやいつがどの問題なのかわけが分からなくなっている方も少なくないと思うが、取りあえずこれから起こる一番近いのが、2025年問題である。

 これは25年、第一次ベビーブームで誕生した団塊の世代800万人が全て75歳以上の後期高齢者になるという、超高齢化社会への第一歩を表した言葉だ。この800万人が加わる事で、日本の後期高齢者はおよそ2180万人、実に国民の5人に1人が後期高齢者となる。これに少子化が加わって、社会保障負担の増加や労働力減少により社会のバランスが大きく損なわれるわけで、その対策が必要とされている。

 実はその後も国内人口の3人に1人が65歳以上となる「2030年問題」、高齢者人口の割合がピークに達する「2040年問題」と、日本は問題がめじろ押しである。

 高齢者が増えるということは、このさき死に直面することも増えるという事でもある。ここ数年、コロナの影響もあったとはいえ、筆者のちょっと上の世代の有名人が亡くなるニュースが相次いでいる。自分が影響を受けた人達の新作がもう出てこないというのは、地味にダメージを食らう話である。

 先日NHK「おはよう日本」の特集で、考えさせられる報道があった。歴史学者でもあった元大学教授が亡くなった際、親族が近所に住んでいるにもかかわらず、知らない間に身寄りがないとして自治体によって火葬され、無縁仏として霊園に納骨されていたという。

 妻子もなく一人暮らしではあったが、自分で救急車を呼び、心肺停止状態で救急隊員に発見された。死亡が確認されたのは搬送された病院内ということなので、死後何日も発見されないような、いわゆる孤独死でもない。

 自治体側で親族が探せなかったのは、戸籍情報を市内の範囲内でしか調べなかったからだ。こうした問題が起こった際、親族をどこまで追って調べるかに規定がなく、自治体判断になる。市内であれば3日ほどで調査できる一方、他都市の調査となると通常2週間ほどかかるという。自治体では長期間遺体を保存する事もできないため、先に火葬・納骨して申し出があれば引き取り、と考えていたようだ。

 ただ、この戸籍調査期間も、役所が言う額面と実際は違うのではないかと思う。筆者は数年前に行政書士補助者として戸籍調査の手伝いをさせてもらった経験があるが、市内なら当日、市外県外でも1週間かからず結果が返ってくるのが普通であった。もちろんそれは役所がITを活用しながら頑張っているからなのだが、紙調査していた昔の基準でいまだに調査期間の平均値を見積もるのもどうなのかなと思う。自治体DX化が完了して多くの手続きが共通プラットフォーム上に乗れば、さらにこうした調査速度は上がるはずだ。

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