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いざ調べ始めると大変、ネットにない古い情報を探すには

ITmedia NEWS / 2024年6月4日 18時6分

●図書館にあれば安心なのか?

 書籍や文献など図書として出版されたものは、納本制度により全て国立国会図書館に収蔵される事になっている。また電子書籍や電子雑誌も、平成25年から収集・保存が始まっている。よって知識が失われることはないと思う方も多いと思うが、実際にこれを利用する立場になったことがあるだろうか。

 国立国会図書館では、実際にそこへ行って収蔵されている資料を閲覧できるだけでなく、ネットを通じて資料のコピーを請求できる。

 だが逆に言えば、探している情報がどの書籍の何ページに掲載されているのかが分からなければ、そもそも請求もできない事になる。収蔵の資料はNDL SERCHというページから探せるが、実際にやってみると、まあ見つからない。

 例えばジェット・ダイスケ氏が広く普及させたといわれている動画編集手法「ジェットカット」について調べようと思っても、ジェットカッターに言及した論文などが見つかるだけである。ジェットカットについては、筆者が記した書籍「仕事ですぐに使える!DaVinci Resolveによる動画編集」という書籍で言及しており、この書籍も国立国会図書館に収蔵されているが、本文検索ができないので、結果的に見つからないのである。

 存在するのに、リーチする手段がない。これは、10年前のWebサイト38%が見つからない問題と、本質的には変わらないように見える。Webサイトの場合は、削除されたものもある一方、そのほとんどがリンク切れのためにリーチできないのだ。

 国立国会図書館でも収蔵されている紙資料のデジタル化とOCRは粛々と進めているが、古い順や重要度といった重みづけ順で行われているため、われわれが知りたい資料がそれに当たっているかどうかは、調べてみないと分からない。

 インターネット上に蓄積された集合知があまりにも膨大なため、われわれはググれば何でも分かると思い込んでしまったが、あったはずの情報がもう見つからない、でも紙の資料ならあるはず、ということに直面する可能性が出てきている。

 紙の資料を探すには、図書館に行く、電話する、対面で話を聞くといった手段を駆使して、少しずつ接近していくしかない。「ネット外」の資料をどう系統化し、リーチできるようにするのか。それは、「ネットに載せればよい」という方法では解決できない。

 ネットでは今後、AIを駆使した効率的な検索が実現するだろうが、ネットにはない情報を探すには、自分1人の力ではどうにもならない時がある。こうした紙の情報を探す手法に対する理解や敬意は、忘れてはならない部分である。同時に自分がなんらかの紙の資料を握っているならば、誰かの調べものを助ける立場になったときの寛容性もまた、備えておかなければならないだろう。

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