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Appleが「マルチカメラ編集」へ向かう理由 「Final Cut Pro 2」新機能から読み解く、その“本気度合い”

ITmedia NEWS / 2024年6月7日 12時52分

 このような経緯から、今回のiPad向けライブマルチカムソリューションは、Blackmagic Designとのコラボレーションの中で実現したものと見るべきだろう。この点は、「さすがApple、どこもやっていないことをやった」みたいな記事が出回る前に指摘しておく。おそらくBlackMagic Designのソリューションと食い合わないよう、すみ分けが行われたものと考えられる。

 まあその割にはiPad Proのプロモーション動画「Crush!」の中で、DaVinci Resolve Mini PanelとDaVinci Resolve Editor Keyboardを派手にぶっ壊しているので、ティム・クックはあとでグラント・ペティ(Blackmagic Design CEO)に怒られろ。

●マルチカメラソリューションに必要な技術

 マルチカメラによるコンテンツ制作は、ライブではスポーツ中継、プロダクションでは音楽コンサートなどで古くから行われていた。それが今回のように、iPadのウリとして紹介されるようになるまでには、結構長いステップがある。

 まず2010年前後に世界的なUstreamブームが起こり、ネットライブ配信が大衆化した。最初はネットに詳しい好事家だけのものだったネットライブは、次第にそれを業務化する層が表れた。アマチュアにはできない差別化として、PCや2~3台のビデオカメラを切り替えるため、これまではテレビ放送以外では使われたことがなかったビデオスイッチャーに注目が集まった。

 こうしたスイッチング結果を収録してしまえということから、ローランドのスイッチャーは初期から録画機能が搭載されていた。その後、スイッチング後ではなく入力ソースも全部撮れた方がいいということから、Blackmagic DesignのATEM Mini ISOシリーズが登場した。これはワイヤードでカメラをつなぎ、スイッチャーを拡張してレコーダーとする方向性だ。

 一方でネットワーク機能が最初から載ったカメラとして、スマートフォンが注目されたのは結構早かった。ローカルWi-FiにつないだiPhoneの映像をiPad等に飛ばしてスイッチングするという試みは、すでに2011年にB.U.Gの「TapStream」というソリューションがあった。この方法論は手を変え品を変え、何度となく現われている。23年にはTOMODY(東京都千代田区)から「WRIDGE LIVE」というサービスが登場している。

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