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「PLATEAU」って知ってる? 日本の都市を“完コピ”した無償3Dデータとゲームエンジンでできること

ITmedia NEWS / 2024年6月19日 14時8分

 映像業界での利用はわかりやすい例だが、もちろん他にも広がっている。特に「ゲームエンジンがほぼ必須」とされているのが、いわゆるXRやデジタルツインを活用する現場だ。

 こうした用途はリアルタイムCG技術が必須であるのに加え、「こう作ればいい」という定番が定まったジャンルでもない。すなわち、ソフト開発の中での試行錯誤が多くなる傾向にある。そうすると、グラフィックスの表示などの基本的な部分へ手戻りしては効率が悪くなる。この辺はゲーム開発と事情が似てくるのだが、だからこそゲームエンジンを使うのが一般的な発想になってくるわけだ。

 事実、Metaにしろアップルにしろ、XR関連アプリ開発を助けるためにゲームエンジン・プラットフォーマーとの協業を行なっており、ほぼ必須の要素になっている、と考えていいだろう。現状、映像制作向けには「Unreal Engine」が、XR向けのゲームやモバイル向けのアプリでは「Unity」が選ばれる傾向にある。

●都市データを無償公開する「PLATEAU」とは

 一方で、もう1つ重要になってくるのが「データ」だ。例えば、街中で使うARアプリを作るとしよう。効果的なアプリを作る際には、その場所の地形や建物などの形状データが必要になるが、それをすべて作っていると大変なコストがかかる。

 ここでPLATEAUとの関係が出てくる。

 PLATEAUとは、国土交通省が進めるデジタルツイン支援プロジェクトだ。国土交通省には元々、多数の地形・建物データが集積されている。それを民間が扱いやすい形でまとめ、さらに、追加で整備した日本中の都市・建物・地形に関するデータを公開するのがPLATEAUの役割である。

 税で整備されたデータなので、利用は商用利用も含めて「無償」。一般社団法人社会基盤情報流通推進協議会が運用する「G空間情報センター」で、オープンデータとして公開されており、自由にダウンロードして利用できる。形式は国際標準データである「CityGML」の形で用意されていて、ゲームエンジンやグラフィックツールなどでは、コンバートしてから利用する。

 PLATEAUの公式ページには多数の実装例が公開されている。ビジュアライズに使った例も多いが、建物や地形の形状データを使った災害シミュレーションやインフラ管理など、ある種のシミュレーション的な活用も多いのが特徴だ。3D都市モデルをオープンデータとして整備することにより、様々な用途が広がっていくことこそが、PLATEAUの狙いそのものである。その辺は、以下に示したPLATEAUのコンセプトビデオからも見えてくる。

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